■世界をやたらと安全にするために
というわけで、前回は英国社会における猛犬注意について、を
非キリスト教社会からの立場で考察したわけだが、今回はさらにその先、
ご覧の展示で、ホームセキュリティについて、考えよう。
「さいですか」
というわけで、まずはこれ。
「オモチャの缶詰?」
残念、ちょっと違う。
これは缶詰風貴重品入れだ。
「…はい?」
缶詰に見せかけて、実は中が貴重品入れになってるのさ。
「…なんで?」
金庫とかに入れとくと、逆に狙われやすいでしょ。
裏をかいて台所の缶詰に紛れ込ませておくわけだ。
「なるほど、ドロボウがよほど空腹でなければ、こんなの見ないか」
基本的にはそうなんだが、もう一つ、見つけられる可能性はある。
「何?」
実はこの商品、雑誌で広告が掲載されてたんだ。
だから、その広告を見たドロボウなら、むしろ真っ先に缶詰に行くだろう(笑)。
「雑誌に広告出しちゃだめじゃん」
でも、出さなきゃ売れないぜ。
「……」
……
「なにか商売として、致命的な欠陥があるような…」
うん、そう思うね。
「微妙に暗くて見づらいけど…上にあるのは、犬の人形?」
半分正解。
これは犬型の警報装置で、家の中や庭に置いておくものだ。
センサーが内臓されていて、彼の側に動くものが近づくと、
大音量でバウバウ!と吼えるんだそうだ。
「それで?」
いや、それだけ。
「……留守宅なら、スイッチ切っちゃえばいいんじゃないの?」
電池を抜いちゃう、という手もあるよな。
「これが犬の形をしていて、犬の声で吼える必然性は?」
ないだろうね。あえて言うなら、芸術性の追求かなあ。
ついでに1994年製ながら10ポンドを切るお値段。
2011年の円換算なら1500円を切ってるから、
コストパフォーマンスはいいよ。
「なんで、ここでレコードプレイヤー?」
いや、これは自動通報装置だ。
1935年、第二次大戦前のハイテクマシンで、
床に置いたセンサーに反応があると、イギリスの通報番号、
999を自動で回す電話機能がついてる。
ちなみにイギリスは、救急車だろうが警察だろうが、全部同じナンバーだよ。
「あのレコードは?」
あらかじめ吹き込まれているメッセージが入っていて、
これが自動通報であること、ドロボウが侵入した事を告げるようになってる。
「結構スゴイじゃん」
まあね。
ただ、このレコード、既製品のものしかないのか、
ここで聞けるものはドロボウが入ったこと、これが自動通報であることを
延々と繰り返すだけで、自宅の住所は全く言わないんだ。
「それで大丈夫なの?」
わからん。
もしかしたら、電話番号から通報先がわかる、とかあったのかなあ。
「結局、いろいろ微妙な機械?」
まあ、微妙な気がするね。
はい、とりあえず今回はここまで。
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