■さあ、グランドフロア、グランドフィナーレへ
太陽光発電で動く車、ソーラーパワーカーのマッドドッグ2。
1998年にロンドンにあるサウスバンク大学で造られたものだとか。
ちなみにサウスバンク大学は元々、職業訓練学校だったそうで、
この手の製造、組み立てはお手の物だったようです。
で、日本で行われている(2011年現在中断中?)学生によるワールドソーラーカーラリーの
1998年大会に出場、ストッククラスにて優勝しています。
はい、とりあえず、これにてグランドフロアの本館は見学終了。
ここから通路を通って新館へと向かいます。
ここから先が新館です。
ここまでとは、全く雰囲気が異なるんでちょっとビックリする。
でもって、前回、一つだけ書き忘れてたので、ちょっとだけ。
ここまでの展示は年代別にいろんな工業製品をまとめてあったのですが、
1820〜1880年、日本の幕末から明治初期にかけての展示のタイトルが
技術者の時代(The
age of the
engineer)とされていました。
これは、まさに蒸気機関の発達と産業革命の時代であり、
確かに技術者の時代、なんですが、多分、言外にちょっと別の意味を持ちます。
イギリスは階級社会の国です。
1066年にフランスの貴族、後のウィルアム1世によってイギリスは征服され、
その後は江戸期の土佐藩のように、征服者と被征服者の階層がはっきり分かれます。
当然、征服者は王族、そして貴族となり、ごく一部の有力者を除き、
征服されたイングランド、さらに後にはウェールズ、スコットランド、アイルランドの
人々は明らかに下層階級を構成する事になります
この差別は19世紀に入っても形を変えてまだ残っていました。
後に、ジェントル、紳士と言うよくわからん階層が出現しますが、
これは要するに成金の金持ちで、地位は無いが金はある、
とりあえず、社交界には顔が出せる、という人々でした。
ある意味、階級社会の異端児ですが、それでもごく限られた人々であり、
そして彼らは明らかに上流社会に入っていました。
が、蒸気機関が、これを変えます。
20世紀に入ってもまだ階級社会だったイギリスなので、
完全に打ち砕いたわけではありませんが、それまでに比べ、
はるかに社会の風通しはよくなります。
イギリスの技術者は、基本的に下層階級の出身です。
貴族、王族出身の技術者はまずいません。
理由は簡単で、貴族やジェントルな皆さんは、数学や物理を実務である、
つまり、そこら辺の鍛冶屋さんと同じレベルだと考えていました。
上流社会から大学に行くものは基本的に法学、あるいは文学に向かいます。
それを“手を汚して労働することの無い”高尚な学問だと考えたからです。
この反動で、庶民階級出の秀才、天才は、イギリスでは理系に向かうことになるのです。
ここなら、貴族や王族でなくとも、大学に入ることが可能でした。
が、蒸気機関と産業革命が、全てをひっくり返してしまいます。
蒸気の力の前に、ローマの法制も、ホメロスの詩も全く無力でした。
社会を変革する力は、庶民階級の技術者に移るのです。
さらに、王侯貴族の晴れ舞台、あるいは名誉ある就職先だった軍も変わります。
それまでの勇気や胆力では、近代戦は勝てません。
勝てないどころか、戦場に付く前に大砲で吹っ飛ばされてしまいます。
戦争を近代的にしたのは1790年代以降のナポレオンですが、
それを追いかけるように産業革命が始まり、
さらに戦争は技術者の世界の中に入り込んできます。
産業と技術、さらには科学と数学無しでは戦争には勝てなくなります。
こうなると、それまでの支配者階級は何の役にも立たない連中であり、
その没落は急速に進む事になるのです。
以上、脱線でした。
さて、この通路の向こうが新館なワケですが、なんかもう、完全に別の施設という感じです。
壁なんかにもオシャレなオブジェが満載ですし。
そこに展示されてたマクラーレンのF1マシン。
ミカ・ハッキネンのマシンで1番ナンバーをつけてますから、1999年型ですかね。
時速360kmでの事故にも耐える、世界一安全な車の一つ、として展示されてました。
ちなみに奥に見えてるのが巨大ドーム劇場のIMAXシアター入り口。
この新館の大部分をあの施設が占めます。
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