■フランス人はコンコルドがどれだけ好きか



さて、コンコルドに戻りましょう。
入り口から入って見えるのが、この量産型の機体。



その反対側、奥の方にあるのが、この試作機。
正式にはコンコルド001というらしいです。1969年3月に初飛行した機体。
最初にマッハ2を記録したもの、多分、この機体です。
今になってみれば、よくまあマッハ2を超える速度で旅客機を運用しようと考えましたねえ…。
ただ、聞いた話だとロンドンからニューヨークまでの4時間弱の飛行で、
実際にマッハ2を超えるのはせいぜい1時間前後だそうで、
加速と減速をやってるうちに着いちゃうそうな。
まあ、そりゃマッハ2で3時間飛んだら機体がもたないでしょうし。

良く見るとコクピット周りの形状が、かなり異なります。
この試作型だと、飛行中の前方視界、ほとんどないような。
コンコルドは離着陸時には機首を下に折り曲げて視界を確保できるので、
機械任せで飛ぶ通常飛行時の視界なんていらん、と考えたんでしょうか。



後ろから比較。
天井がゆがんで見えますが、広角レンズのせいではなく、こういう構造です。
これが試作機。



でもってこっちが量産型。

あ、こっちは主翼後縁にあるエレボンを下げてしまってますね。

コンコルドは三角翼(オージー翼)を採用した機体なので、
主翼のケツが機体の重心よりはるかに後ろで、ここにフラップをつけてしまうと、
ケツだけが持ち上がって逆立ち状態になってしまい、離陸ができなくなります。
なので、フラップなどの、いわゆる高揚力発生装置がありません。

写真で下に下がってるのはエレベータ(昇降舵)とエルロンの役割を兼ねてるエレボンです。
これで飛行中の姿勢制御をやります。
なんで主翼に昇降舵までついてるの、といえば水平尾翼がない、
その位置に近いトコまで主翼が伸びてしまっているから、です。



後ろから見てわかる両機の最大の違いは尾部のこれでしょう。
フラップなどの揚力を増加させる装置がないこともあり、
コンコルドは離着陸時には、その長い機体をグワっとそそり立たせ、
正面から大きく風を受けることで、揚力を稼ぎます。
(カラスが飛び立つ時の姿勢に似てるような気がするのは私だけ?)
このため、コクピットから下の視界が全く得られなくなってしまい、
コンコルドには機首を下に折り曲げて、コクピット前の視界を確保する、
という機能が搭載されたわけです。

なので、離着陸時には尾部は地面スレスレまで下がってしまい、接地の恐れが出てきます。
その対策が、この尾部の車輪。
これで接触を防ぐのですが、これ、試作1号機だと車輪無しのただの棒です。
やっぱりそれだと無理があったんでしょうね。



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