■ほんとにイロイロ飛んでたの



ブレゲー(Breguet)のBR.XIV (14) A2。
第一次大戦期を通じて、もっとも成功した機体の一つとされてます。
これはA型なので偵察機ですかね。
爆撃型のB2は、タイの空軍博物館にありました。

単発エンジンの機体ですがご覧のように巨大な機体で、
8000機前後生産されたとされ、戦後は民間用の機体も生産されてます。
サン=テグジュペリが郵便飛行士時代に乗った機体でもあったはず。

この機体の特徴はエンジンから蒸気機関車の煙突のように上方向にに1本だけ
飛び出してる排気管なんですが、未だにアレの目的と言うか意味がわかりませぬ。

ついでながら、タイに残ってる機体は
主翼の後縁部がギザギザのエッジになってる、といった特徴があります。
この機体にそれがみられないのはA型とB型の違い、という可能性もありますが、
この博物館がレストアをミスってる可能性もありにけり。

タイの空軍博物館、その維持管理は意外にマジメなので、
どっちかが間違ってるなら、このフランスの博物館が
間違ってると思って間違いないでしょう。



第一大戦期のフランスを代表する戦闘機、SPAD S.VII (7)。

SPAD社における最大の成功作です。
ついでながらSPADはフランス人の発音だとスパ、英語読みならスパッドですが、
日本では英語読みのスパッドが一般的。

1916年に初飛行、1917年の2月に運用開始なので、大戦初期の機体なんですが、
これの改良型であるXIII(13)と合わせて15000機近く造れ、
フランスの主力機として活躍することになりました。

展示の機体はオリジナルで、フランスで第2位のスコアを誇る
エースパイロット、ギンミー(Guynemer)が
“使ったことのある機体”らしいのですが、来歴等、詳しくは不明。

ちなみにギンミーが最後に乗っていた(1917年9月に撃墜され死亡)のは
改良型のXIII(13)だったんですが、この数字、よく採用されたなあ…。




ここの展示で、一番奥にあったのがこれ。
ヴォイザン(VOISIN) 10 CA2の胴体部。

1918年、大戦末期に登場した夜間爆撃機らしいんですが、
280馬力のルノーエンジンにより、300kgと当時の爆撃にしてはかなりの爆弾が積めたそうな。
ただし、速度は出ないので、夜間爆撃専用とされた…って、
あの、この機体、なんか機首部分に見慣れぬものが装備されてるんですが…




…オチキスの37mm速射砲でした(笑)。

戦争でもやる気かってな装備ですが、これで対地攻撃を目論んでたそうで、
一部には47mm砲を積んでた機体もあったとか。
火薬、減らしてあったんでしょうが、反動によく耐えたなあ…。

つーか、上空から爆弾落とす、というのは火薬の代わりに重力加速度で
弾頭を加速させるようなもんですから、普通に爆弾落としたほうがよくないですか…?
ちなみにこの銃手席は二人乗りで、後ろに見えてるオチキス機関銃と、
この速射砲にそれぞれ1人の銃手が乗ってました。

ちなみにこの速射砲を積んだタイプはCA2ではなく、 Bn.2と呼ばれた、
という話もあるんですが、ここでは博物館の表示に従ってCA2としておきます。



でもって、一番最後の展示がこれ。
壁に貼られてた、おそらく敵味方の機体識別表。
当時のパイロットのためのものでしょうか。



こんな感じで、敵味方合わせて、シルエットで紹介されてます。
左側には尾翼の形状とか、骨組みの数とかまで細かい説明が。

…これ全部覚えろ、といわれても私には無理だ(笑)。
つーか、似たようなシルエットの機体、多いですね。


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