■一気に勝負に行くオマケ編
というわけで、作者急病によりしばらくお休みしていた
オマケコーナーも、ようやく復活だぜペロ君!
「さいですか」
今回は2本立てで、一気に行ってみようか!
「さいですか」
まずはこれ、例のRAF博物館の展示で、一つだけ紹介してなかったものだ。
「機関銃じゃん」
中央にあるのは第二次大戦から現代まで使われ続けてる傑作機関銃、
ブレン軽機関銃(Bren
gun)だが、今回取り上げるのは、その奥にあるものなんだよ。
「奥って…なんだこれ?槍みたいな尖がった金属棒があるけど」
正解、これはヤリ(Pike)なんだ。
「手前のブレン軽機関銃用の銃剣?」
さすがにこれを装着するのには無理があるだろ。
「じゃあ、何?」
だから、ヤリなのさ。ホントに武器としてのヤリだ。
「第二次大戦の時代にヤリ?」
もちろん、ワケあり、な兵器だよ。
これはイギリスのホームガード、つまり本土防衛隊が使ってた武器としてのヤリなんだ。
1940年の6月にフランスがドイツに降伏、その結果、
ヨーロッパ本土から撤収することになったイギリス軍は
自軍の将兵をフランスのダンケルクから海路で本国に引き上げさせる事になる。
いわゆるダンケルクの撤収戦だね。
いろいろあって、奇跡といわれたほどの撤退戦になり、
35万人近いイギリスの兵員の9割近くがドーヴァー海峡を渡って脱出に成功した。
「それはすごいね。でもそれとこのヤリに関係があるの?」
脱出したのはあくまで人だけだったのさ。
彼らが装備していた兵器類はほぼ全て現地で放棄されてしまった。
つまり1940年の夏のイギリスでは、
まともな陸戦兵器はほぼ枯渇してしまう事になったんだ。
「あれま」
ところが、ドイツは一気にイギリスに行くぜ!とアシカさん作戦を立案、
これはエライ事になったとイギリスは大いにあわてる事になる。
「となると、このヤリは…」
そう、本気で本土防衛用の決戦兵器なのさ(笑)。
本土防衛隊の場合、いわゆる正規軍とは別に、
兵士に志願したものの健康検査等で堕ちた人や、
30代、40代の軍隊経験者などで構成されていたので(別名がオヤジ軍“Dad's
army”)、
当然、本科的な装備が優先的に回ってくる、なんて事はなかったので、こうなったわけだ。
そもそも1940年夏の段階では、イギリス中を探しても、ほとんどまともな兵装は残ってなくて、
正規の陸軍の兵隊さんの方もかなり悲惨な状況だったようだ。
なので他にまともな武器は無いんだ、これで戦うしかないのさ。
ちなみにこの博物館に展示は無かったが、1940年ごろの本土防衛隊は、
スコッチの空き瓶を使った火炎瓶とか、どこのデモ隊ですか、
というような武器も装備していた。
「身につまされるなあ…」
まあどこの軍隊でも追い詰められると、信じられないような事が
大真面目に行われる、といういい例だと思うよ。
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