■オチはビクトリアクロスだ!


さて、次回に引き続き、イギリスの少年向け週刊誌、
ヴィクターから1960年代の戦記ものマンガを見てゆこう。
今回はイギリスの戦記マンガ最強のオチ、
ビクトリア クロス フィナーレについてだ。

「さいですか」



まずは、これ。
日本軍のインパール作戦を迎え撃ったイギリス軍のお話。

「またイギリスが勝つ話でしょ」

そりゃまあ、そうだ。
実際、この時の日本軍の負け方は悲惨としか
言いようがないものだったしなあ。
まあ、とりあえず、このマンガで重要なのはストーリーよりも
ラストなので、途中ははしょるぜ。

「ご自由にどうぞ」



で、これがラストシーン。
最後のコマだ。

「ああ、日本兵がやられてオシマイなのね」

いや、よく見てご覧。
倒れてる彼のヘルメットはイギリス軍のものだ。
これは、主人公が最後に戦死するところなんだ。

「え?主人公、死んじゃうの?
そんなベトナム反戦映画みたいなシュールなオチで
少年の読者はついてくるんかいな」

ところが、そこには大逆転がしかけてあるのさ。
この主人公は戦死と引き換えに、
イギリス軍最高の栄誉である勲章、
ビクトリア クロスが贈られたのだ!となる。

「いや、死んじゃったら、勲章も何もないだろう…」

それがそうでもないらしい、というのが
今回の話なのさ。



その証拠、その1.
これはその次の話のオチ。

「いきなりラストかよ…。温泉で踊ってるとこ?」

いや、今回の主人公も敵の銃撃を受けて死亡してるところだ。
でもって、オチはまたもビクトリア クロス授与。

「…強いな、ビクトリア クロスオチ」

強いだろう、ビクトリア クロス。



証拠その2。
これは別の号の戦記マンガのオチ。
もはや死亡するキメシーンも無しで墓にビクトリア クロスだぜ。

「なんでもありだな、ビクトリア クロス」

なんでもありなんだよ、ビクトリア クロス。
日本のマンガにも、これだけ強力なオチが
いつかは発明される日が来るのかな。

「知らないし、知りたくもないね」



オマケで、そのマンガに出てきた日本兵さん。
“アイヤー!グレネード弾アルヨ”
と妙に冷静な事をおっしゃってるぞ。

「アイヤー!」

日本にはビクトリア クロスがないので、
当然、この話にはオチがつかない。
そんな感じで、今回はここまでだ。


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