■世界最強の玄関前



帝国戦争博物館、正面から見るとこんな感じの建物です。
微妙にバランスが悪いのは、左右の両翼部分が取り壊されてしまったからでしょう。



で、ここの正面玄関前に鎮座しているのがこれ。
世界一アグレッシブな玄関先と言えましょう(笑)。

1914年からイギリス海軍が導入を始めた15インチ(38.1cm)砲です。
砲本体の重量が約100トン(笑)、1938ポンド(約880kg)の砲弾を
最大で29km先までぶっ放せたのだとか。
当時の戦艦の艦橋の高さだと、ギリギリ見えてる水平線の辺りまで
大砲でブチかませた、という事になるわけです。

これはクイーン エリザベス級から搭載が始まり、22隻の戦艦に搭載された、との事。
で、クィーン エリザベス級戦艦の設計段階ではこの砲はまだ完成しておらず、
主砲の設計と艦の建造が平行して行われていたようです。

ちなみに、このクィーンエリザベス級の内の2隻は海戦史上、
他に例を見ない方法で損傷を受け港内で着底してしまうのですが、
それに関する展示は次回に登場します。



15インチ(38.1)cmともなると砲弾もまあ巨大です。

ベルファストの艦内展示にあった14インチ(約35.5cm)砲弾もデカかったですが、
わずが1インチの口径差ながら、こっちの方が確実に一回りはデカイです。
全長で1m60cm以上あるんじゃないでしょうか。



砲の尾部。
えらくアッサリしてますが、本来はもっといろいろついてるはず。

ちなみこの2門は別々の戦艦に積まれていたものなんですが、
右側の砲は、1938年に一度戦艦ごと解体されながら、1944年のノルマンディ上陸の
艦砲射撃用に、別の艦に積みなおされて使われたんだそうな。

余談ですが、全長16.5mある100トンの巨砲のこの展示で、固定されてるのは
その付け根付近の前部分のみです。
つまりあの辺りが重心の位置で、尾部の方が重いのだ、という事になるようです。
まあ、そうしないと、迎角を取るだけで、えらい労力になるでしょうからね。
(微妙に後ろ下がりで安定してるので、実際の重心はもう少し前だと思うが)



ロンドン、パリともにこの手の落書きは街中に溢れてたので、
てっきりこの博物館もその被害にあったのか、と思ったら、
これは冷戦の象徴とも言える、東西ドイツ時代のベルリンの壁の一部でした。
1989年11月、この壁の崩壊から2年後のソ連崩壊にかけて、
東西冷戦は静かで劇的な終局に入るのです。

今となっては、冷戦も米ソ核戦争の脅威も昔話ですが、
当時としては衝撃的な展開ではありました。
ついでに、この人類最終戦争の危機の究極形の回避には、
当時、タカ派で戦争バカと思われていた(笑)アメリカの大統領、
レーガンが大きな役割を果たしています。
単なる平和バカでは、本当の平和ってのは手に入らないように思うわけで。

で、この、人生を変えろ、というヘッポコな落書きが、
元々描かれていたものか、ここに展示するにあたり、
新たに描かれたものかは、よくわからず。


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