■とりあえずレツゴー横川

さて、昨年はすっかりサボってしまった小諸の墓参り。
今年もどうしようかと考えていたら、実家から我らは行けぬので、
キサマが一族郎党を代表して現地に行け、との指令が。

あれま、という感じで、まだ夏の匂いが残る9月8日の日曜日に出撃。

でもって、いつもと同じじゃつまらないので、今回はイロイロ一工夫。
まず、どうせ小諸に直接乗り込めない長野新幹線は使わない。
そして、その結果通過する在来線の横川駅にある、
碓氷峠の鉄道文化むら(平仮名表記。群馬県ではむらは平仮名らしい)を
見学して来よう、と思ったわけです。



と言う感じで、朝6時半に東京上野周辺の自宅を出発、
午前9時40分に横川到着となりました。

ここはかつて、信越線の碓氷峠超え入り口となる駅でした。
ところが1998年の長野新幹線の開通にともない、信越線の碓氷峠部分が廃線となり、
その結果、関東平野の最も北西に位置する終着駅に生まれ変わりました。

同時に信越線は碓氷峠を越えられなくなったため、
そこから東西に分断される、というあまり聞いたことの無い状況となり、
その運営も東西に分割されることになるのでした。
なので、この横川まではJR東日本の路線ですが、峠の先の軽井沢から長野までは
旧信越線を引き継いだ、しなの鉄道の路線になっています。
そのため、ご覧のように、レールもここで切れてしまっているのです。
(ややこしい事に長野から先は再びJR信越線となるが、今回はそこまで行かない)

なんでこんな中途半端な廃線が行われたのか、
というのを理解するには、中山道(なかせんどう)最大の難所とされた
碓氷峠の急勾配ぶりを理解する必要があります。

そもそも碓氷峠というのは、こんなとこに鉄道を通そうと考えた責任者出て来い、
という位の急勾配でして、明治期の通常の列車ではとても登ることができませんでした。
なので、有名なアプト(アブト)式と呼ばれるという豪快な方式が取られます。
これはギザギザのある3本目の線路を中央に敷いて、
そこに峠専用の補助機関車が歯車を食い込ませて登ってゆく、
という豪快な方式となっています。
(文章ではわかりにくいので、後ほど写真で説明します)

が、これではあまりに速度も遅く、効率も悪いため、
戦後は、信越線の電車のパワーアップを計り、
さらにEF63という対碓氷峠超えに特化した強力な電気機関車が開発されて、
実戦配備され、この峠超えに使われました。
1998年の廃線までは、そのEF63をこの横川駅で列車に連結、
押し上げるようにして峠を越えることになっていたのです。

このため、特急だろうと各駅停車だろうと、全ての電車は
この駅でEF63を連結するため、10分前後の停車時間が発生してました。
その待ち時間を利用してお客さんに売られまくっていたのが、
有名な峠の釜飯の駅弁です。

ちなみに、下りになる軽井沢側でもEF63は連結されるので、
どうも相当に強力なブレーキとかが付いてたんでしょうかね。

そんなわけで、ノンキな国鉄時代なら平気でも、
民営化されてコストが重く見られるJR時代になると、
この運用はおそらく大幅な赤字になっていたと思われます。
その結果、長野新幹線の開通にあわせ、廃線とされてしまったのです。

ところが、この廃線部分が意外なまでによく保存されており、
その一部を使って営業されているのが、
今回訪問する横川の鉄道文化むら、となります。




そんなわけなので、この駅を訪問するのは実に20年ぶりくらいとなります。
さらに下車するのは初めてです。

ちなみに、鉄道は廃止になったものの、
写真に見えるJRバスが横川から軽井沢まで通っており、
群馬と長野の県境に近いここから長野方面に抜けることは可能です。
今回の旅行でも後ほど利用しますが、だいたい1時間に1本前後、
運賃は2012年9月現在、片道500円でした。




で、駅から峠に続く線路のうち、
実は1本だけが残されており、今でも碓氷峠へと繋がっています。
その先に見えてるのが、後ほど乗車するトロッコ列車です。

これが今回の訪問の目的の一つだったりします。



さて、入場料500円と、例のトロッコ列車代500円の計1000円を払って中に入ると
こんな感じの光景が眼前に広がります。

こりゃしまった、単なる地方の遊園地ではないか、
トロッコ列車に乗ったらさっさと帰るか…
と思ったんですが、ところがドンスコイ、これが意外にすばらしい施設だと
ジワジワと判明してゆきます(笑)。



カッコいい感じの時計塔とアンパンマン。



さて、ここの売りの一つが、保存されてる多くの鉄道車両です。
私の鉄道の知識と言うと、列車にひかれると高確率で死ぬ、
とういうくらいですが、現地の解説板を基にざっと見て行きましょうか。

まずは入り口入って直ぐのところにある
三菱重工製のGA-100型ディーゼル機関車。
新幹線軌道用の車両で、線路の異常を確認するためのものだとか。
正式名称は新幹線軌道確認車だそうな。

JR東日本の車両、という事なので
長野新幹線や東北、上越新幹線で使われてるんでしょう。

ちなみにこの車両、平成7年完成、となっていたので、わずか17年前のもの。
鉄道車両としては、かなり短命なような気がするんですが、
そんなものなんでしょうかね。

さらに余談ながら、これ、エンジンはアメリカの
デトロイトディーゼル社のものが搭載されてます。
航空機ばかりではなく、鉄道もエンジンは海外メーカーなんですね。


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