■メカとロマン
中に入る。
おおこりゃ、船内完全ぶち抜きの格納庫じゃないですか!
船のアタマからシッポまで、完全に格納庫となってます。
天井も高い。こりゃ完全に空母ですよ(笑)。
ただし、艦のサイズを考えると、少し横幅は狭い気もします。
格納庫に関しては、ソ連のキエフ級よりはるかに広いですが、
第二次大戦期のアメリカの空母、エセックス級よりは狭いですね。
空母における格納庫、というと、
ソ連(とロシア)がかつて建造した空母もどき達は、全て格納庫が
船体の後半部分にしかありませんでした。
最初に造られたキエフ級(昨年見たミンスクはこれ)は事実上のミサイル巡洋艦でして、
水平線の彼方、艦橋のテッペンから誘導電波が届く範囲を超えて
飛んで行ってしまう長距離対艦ミサイルの誘導のため、
自分も水平線の彼方まで飛んで行って電波を飛ばせる
航空機(ヘリ)を積んでるだけ、という軍艦でした。
このため、航空機はあくまでオマケで、その格納庫は極めて狭くなってます。
これは多くの機体が搭載できない、というのと同時に、
整備、補給等の作業が極めてやりにくい事を意味し、
実際問題、あれは戦力になってなかったと言っていいと思います。
その後継となり、なぜか中国が買い取って
スクラップ同然の船体から作り直してしまったりしてる
アドミラル・クズネツォフ級も公開されてる図面を見る限り、
船体の後半部のみにしか格納庫はなく、その前半部は相変わらず、
対艦ミサイルの格納庫となってたりします(飛行甲板がガバっと開いてミサイル発射)。
あれは、高価なオモチャでしょう。
アドミラル・クズネツォフ級が空母なら、ひゅうがも空母ですよ(笑)。
甲板なんて付いてりゃいいんで、空母の要はその格納庫です。
これは一度作ってしまったら、後から変更できませんから、
ここの設計が空母のキモとなるわけです。
(あとカタパルトだが、これも後からなんとかなる)
ロシア産の空母は最低でも10隻以上は造らないと、まともな戦力にならないでしょう。
アメリカ相手に戦争やるなら30隻が最低ラインだと思います(笑)。
人類誕生以来60万9531年の間で、まともな空母機動部隊を運用した事があるのは、
実は日本とアメリカだけであり、まともな空母による海戦を経験してるのも
この二つの国だけです。
日本の場合、そのノウハウはとうの昔に失われてると思いますが、
そうは言っても、基本的なとこのセンスは生きてたんだなあ、とちょっと感動。
さて、格納庫に入ったもののなんだか皆さんが固まっていて動かない。
どうなってんだ、と思ったら…
後ろの方でハデにブザーが鳴り響くのが聞こえる。
なんだなんだと振り返ったら、甲板に出るエレベーターが下りてくるとこでした。
あ、アメリカ式に格納庫からエレベータで甲板に見学客を運んでるのか。
空母の要、その3がこの格納庫と飛行甲板を行き来するエレベータで、
これがヘボいと出撃と収容で大渋滞が起こり、
必要な時に、必要な戦力の展開ができません。
飛行甲板に出なきゃ、ヘリなんてただの金属のカタマリに過ぎないわけです。
このため、格納庫から飛行甲板にスムーズに出れるか、というのは重要なポイントとなります。
ひゅうがはキチンと前後に2機、エレベータを持ってるわけで、
なるほど、基本を抑えてるなあ、と思ったり。
するとこちらでもブザーが鳴り響き、天井がガコンと開いて、
エレベータが降りて着ました。デカイな、これも。
一番下まで来ると、こんな感じ。
青空がまぶしいですね。
ちなみにこの前部エレベータが甲板への上り専用、
後部エレベータが格納庫への下り専用となってました。
NEXT