■カゴをよじ登る

巣箱の外に出ても、しばらくはカゴの床の上を走りまわってるだけだった赤ちゃん軍団ですが、
間もなくカゴの柵をよじ登る事を覚えます。
するとカゴの外の世界が見えますから、興味津々で、
その興味津々が高じて脱走にまでつながるのでした…



カゴの外を熱心に見るクロ。
やけに熱心だな、と思ってたんですが、この直後にカゴの中から消え、飼い主を驚愕させます。

この大型のカゴは本来フェレット用で、やや網の目が粗い構造になってます。
おかげで人間の指が入るため、入り口を開けずに中のデグーに触れるのですが(嫌がられるけど)、
それでも、ご覧のように赤ちゃんに比べても十分に間隔は狭いと思っていたのです。

ところがクロはここに顔を突っ込み、その後体を横にして(両肩が垂直に並ぶようにして)
すっと抜け出してしまうのでした。

一番体の小さいクロならではの特技でしたが、生後14日目くらいまでは全員がまだ小さく、これが可能でした。
それでも他にはブチが2回、シマが1回実行しただけで、シロは最後まで一度も脱走をやりませんでしたから、
この脱走癖はクロの個性だったようです。迷惑な個性だな…

小柄であり、さらにかご抜けのコツを掴んでしまったらしいクロは
生後1か月近くまで脱走を繰り返し、最終的に5回もこれを成功させています。
ある意味、見事でした(笑)…。飼い主大迷惑でしたが…



最後の脱走は、一晩かかっても見つけられず、翌朝、ようやく本棚の陰から出て来た所を捕獲しました。
逃げるたびに行動が狡猾になり、以前は大きな音がすると飛び出してきてすぐに見つかったのが、
後にはじっと動かずに一か所に潜んで見つからない、という困った特技まで身につけてしまってました。

呼んだり、エサの入った袋をガサゴソさせる事で、飼い主の所にやって来るほどまだ慣れて無いので、
逃げたら強制捕獲しかないのですが、本能的に追いかけられると逃げまくるため、
この捕獲は大変な労力が要ります。

傷つけないようにとっ捕まえるには、逃げ場の無い場所に追い込み、
周囲を段ボールなどで囲んで、ゆっくりと近づいて押さえつけるしかありません。
これはたいへんな労力で、飼い主は毎回、焦燥させられました…

この時は延々、12時間近い戦いだったので、本人も焦燥してますが、飼い主も参りました。
結局、脱走しても何もいい事はないはずなんですが、この点は最後まで学習してくれませんでしたね。



脱走できないように、そして懲罰の意味を兼ねて、しばらく独房に入れてみたのですが、
まだお母ちゃんのオッパイを飲む必要があるので、そう長時間、ここに入れて置けないし、
本人も全然反省しないで脱走を繰り返すので、これは直ぐにヤメとなりました。



最終的には100円ショップで焼き肉用の網を買ってきて、これでグルリと、
カゴを取り囲んでしまう事に(天井まで)。
これをやると、エサなどの出し入れが非常に面倒になるんですが、仕方ありませぬ。

これは設置直後のクロの写真。
とっつあん、これでオレを閉じ込めたつもりかい、という表情ですな。
そして実際、バカめ、抜け出せるものなら抜け出して見ろ、という飼い主の言葉を
あざ笑うかのように、網と網の間のわずかな隙間をついて、最後の脱走を成功させてしまったのでした…

なぜその知恵と勇気を世界平和のために役立てようと思わんのだ、君は。


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