■アミノ酸メーカー



草食、といっても草だけではなく、繊維質がある部分なら何でも食べます。
これの消化吸収が連中の特権だからです。
葉っぱ、花、そして若い枝までも。さすがにリグニンだらけと思われる古くなった枝などは食べませんが、
その皮をはいで食べてる事がありました。

さて、生物である以上、筋肉、皮膚、内臓と言った部分はたんぱく質で作られており、
それらは日々、作り替えられてますから、たんぱく質がなければ生きて行けません。
問題は、そのたんぱく質をどこまで自分で作れるのかです。
例えば人間はたんぱく質製造に必要なアミノ酸を全部は自分で作ることができないため、
食事による摂取が必須になって来ます。
対して草食動物は体内でほとんど自作できるため、その摂取の必要は低くなります。
(ゼロではない。牧草にもたんぱく質は含まれてる)
さて、デグーはどうなのか。

本来、哺乳類は食物繊維のセルロースやリグニンを消化できず、この点は草食動物でも変わりません。
(人間が野菜を栄養に変えるには十分に噛んで、その構造を破壊して置く必要がある)
このため、草食動物はこれらを栄養素に変えるのに微生物の力を借りてます。
その微生物によるセルロースなどの消化、吸収には二種類の方法あるのに注意が要ります。
(さすがに木材などに含まれるリグニンを消化吸収できる体内微生物はほとんど無く、
このため木などを食べれる哺乳類はまず居ない。あくまで草などのセルロースまでだ)

まず大型の哺乳類、牛などの偶蹄目のように、複数の胃袋を持つ者。
これららはセルロースなどをを分解する細菌をその胃袋内で培養し、
徐々に発酵させ、そこで造られる栄養分を吸収してます。

もう一つは小型哺乳類、ウサギやモルモットなどのように
盲腸などの単一の内臓で微生物発酵をさせて、
直ぐに排泄、その発酵物(まあ形としては糞なんだけど)を再度食べて
栄養素として活用するもの、です。

ウサギやモルモットといった小型哺乳類が複数の胃を持たずに済み、
極めてコンパクトな大きさでも草を食って生きて行けるのは、
この食糞によるからで(ただし大型の馬もする場合があるらしいが)、
となると、小型で草食のデグーもこれをするはずです。

ちなみに食糞と言っても、普通に糞を食べるのではなく、肛門から出て来た
ちょっとドロッとしたものを食べています。
糞というよりは体内で発酵食品を製造してると考えた方が近いかもしれません。
これは出てくると、すぐに口を付けて食べてしまうため、横で見てると毛づくろいかな、
というような感じでなかなか判りません。
(たまに食べ損ねて落ちてる事がある。下痢をしてるわけではないので注意)
ただし、ウチのデグーは来た当初、全く毛づくろいをやらなかったので、
あ、食糞してるとすぐに判別を付ける事ができました。
(最近は毛づくろいもするようになった。理由は不明)
つまり、デグーもおそらくアミノ酸を自力で生成でき、たんぱく質の摂取の必要性は
人間などに比べて低いはずです。
その割には豆腐を好むなあ、と思うんですが、この辺りは謎としておきます。

こうなると内臓に繊維質対策の微生物が住んでるのは間違いないので、
その維持のため、繊維質の摂取は必須となります。
これが少ないと微生物が死滅してしまい、以後、まともな体内発酵が出来なくなる恐れがあるからです。
この点、野菜、キャベツやニンジンは草に比べると繊維質が数分の一しかなく十分とは言えませぬ。
(だから人間が食べれるのだが)
なので、繊維質の多い草や葉の摂取が必須なのですが、先にも書いたように
市販の牧草はイマイチ好まれず、この辺り、何とかしたいとは思っているところです。

ついでに、ウサギやモルモット、そしてデグーの肛門が犬や猫のように体の後端部ではなく
やや腹よりの下側にあるのは、この食糞に有利なためだと思うんですが、
その理屈だと、ハムスターもやってるはずです。

ハムスターは年がら年じゅう、毛づくろいしてるので、判別が難しいのですが、
確かにその辺りを舐めてるの、見たことあるなあ…
となると、連中もアミノ酸、自前で補給できるのか?いや、だったら雑食の意味が無いし…
どうなんでしょうと思うも、この辺りは資料が見つからず。
とりあえず、謎としておきます。


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