さて、ここからは少しだけ、グウ母ちゃん一家のシロの前歯の話を。

シロは一家の中でも小柄であり、オヤツなどを食べる速度が遅いなど、ちょっと華奢な印象がある子でした。それが生後1年半を過ぎたあたりから、歯が細くなるという症状を見せ始めます。このため最近はヒマ種を上手く開く事ができず、オヤツの時は飼い主が少し種のフチを千切ってから与えるようにする必要があったのです。
この子とブチは近親交配で生まれた子なのはほぼ間違いないく、そういった面でやや体が弱いのかと思いますが、ブチは今でも必要以上に元気ですから、ちょっと気の毒な子ではあります。

今年に入ってからはたまにクシャミみたいなことをしており、どうも前歯がおかしいと可能性があり、と注意はしていました(上の前歯の生え際は鼻のすぐ下の骨の中だから、ここに異常があると呼吸に影響が出る)。

それが今年の5月、2歳4ヵ月を超えたあたりから、食欲が急減、大好物のハムスター用ペレットをもらっても床に埋めてしまう日が来てしまいます。絶対おかしいと見た飼い主が水飲みの時に歯を確認したのが上の写真です。
歯が細くなってる上に、下の歯がやや長く伸びてしまってます。本来は上下ともに、割りばしの先のように揃った二本の歯があの半分くらいだけ見えてるのが正しい状態。
ここで初めて、げっ歯目の欠点、ひたすら伸び続ける歯を削れなくなる状況だと気が付いたのです。いわゆる 不正咬合と言われる症状だと思われます。

この時、幸いにして飼い主は自宅待機中で時間はあったので、その日の内に、近所中の動物病院に電話して、デグーの前歯なら見れます、という所を見つけ、そこに持ち込みました。

結論から言うと、歯は切断してもらえたのですが、切り過ぎで、その後の二、三日はさらにまともにエサが食べれないという最悪の状況になります。体重を測ると、すでに10%以上、20g近く減っており、焦った飼い主は、とにかく食べれるものを探します。我が家でもっとも好き嫌いの激しいのがこのシロなので手こずったのですが、どうやら半カケのピーナッツとレーズンなら食べれると判明、これを与えて乗り切りました。レーズンは糖分が高いので、本来なら連続して与えるべきではないのですが、非常時という事で3日間、毎日一粒与えてます。

そもそもデグーの事を知ってるお医者さんは少ないですし、あらゆる獣医の学校でデグーの勉強をするとは思えないので、病院を責める気はないのですが、これでは意味がないな、と思ったのも事実です。

でもって治療にも立ち会ったので、その治療を見ると呼吸麻酔をかける以外はペンチで歯を切ってしまっただけです。
麻酔も暴れないためのものだから歯を切るのに苦痛はない、とすぐに見て取れました。それでいて治療費が9000円を超えており、さすがにボッタくりだろう、と思ったのと、この程度なら家でできるじゃねえか、と思ったので以後は自宅で治療することにしたのです。



げっ歯目の歯の成長は速いので、一か月後の6月半ばには早くもまた、歯が伸びすぎてるのが確認できました。やはり自力で歯を研磨する事はできないようです。歯の噛み合わせがかなり悪くなってるのでしょう。

でもって、もともと抱っこは平気だったシロを(抱っこのたびにヒマ種を与え、一年近くかけて慣れさせた)、さらにこのひと月で数分間は耐えるように訓練して置きました。この結果、さっと抱えて、口の外に飛び出してる下歯の先端、2o程度を切断してしまいます。
幸い、もっとも大人しい子でもあるシロはさほど暴れず、あっさりこれが出来ました。飼い主はかなりドキドキだったんですけどね。
上の写真がその後の状態で、その後では以前のように自分でヒマ種を開けて食べれるようになるなど、普通の食事が出来るようになってます。

この辺り、グウ母ちゃん、そしてデイやトクさんだと暴れてしまってうまく行かない可能性もあったので、シロで幸いだった、という面もありました。が、とりあえず前歯の切断は自宅でも出来る、という事を確認できただけでも良かったです。ただしあくまで大人しいシロだからで、他の子が同じ症状になったら、どれだけ高額でも獣医にかかるしかない可能性がありますが…

 

歯の切断に使った小型ニッパー。模型製作用に20年くらい前に買ったものの、もう10年以上プラモデルを造ってなかったのでタンスの奥で眠っていたものです。まさかこんなことで復活するとは。
ちなみにデグーの口は小さいのと、精密な動きが出来た方がいいので、こういった小型のものでないと無理だと思われます。



今回は他に出番が無かったグウ母ちゃん一家ですが、元気にやっております。

「フフフ…新たな一族の誕生を感じるわ…が、それよりオヤツ頂戴、そこの飼い主」



「というわけで、今回はこれまででしゅ」


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