尾部。
先に書いたように、実際のPR.MK.XI(11)では尾輪は収容式と固定式が混在しており、
その機種判定を面倒なものにしてるわけです。
モデルになったMB950はMk.VIII(8)改造型だったので、この部分は折りたたみ式で正解。
MB950のニセシリアル番号(笑)の後ろに、綺麗に分割線が見えてますが、
スピットファイアでは、ここで胴体の分割ができます。
この部分からエンジン後ろの防火壁までの胴体の基本構造は、マーリンスピットではほぼ変更無しでした。
ただし、既に見て来たような枕頭鋲の全面採用、
外板の滑らかな接合、さらに内部の補強といった改修は入ってますが。
後期型マーリン搭載スピットでは垂直尾翼の舵面が大きくなってるのですが、
そこに取り付けられたトリムタブ、写真で見えてる後端部の小さな板もやや大型化してます。
プロペラを回転させる機体では、その回転の影響によって、
飛行中に機首が曲げられる傾向が出てきます。
(マーリンスピットの場合は左方向へ)
特にエンジン全開の離陸時にはこの傾向が強く、
ラダーペダルを踏んでで舵を逆の右に入れないとまっすぐ飛びません。
(双発エンジンなら左右のエンジンを逆回転させるとこれを防げる。
あるいは2重反転プロペラにする、という手もある)
この傾向は離陸後、エンジン出力を落とすと少し収まりますが、
それでも完全には消えません。
が、飛行中ずっとラダーペダルで調整してたら疲れてしまいますから、
このトリムタブを常に右方向に曲げて固定しておく事で
その力に対向し、機体のバランスを取るのです。
この部分の操作は通常の操縦系から独立しており、
一度角度を取ると固定されるようになっています。
ちなみに後期型マーリン搭載スピットの操縦手帳によると、
離陸から着陸まで、常に全開で右に入れておけ、と書かれてますから、
エンジン出力が強力になった分、機首方向を曲げようとする力も大きかったのでしょう。
ちなみに、なんでプロペラの回転反対方向に機首が曲げられるの、
というとかなり複雑な話になるので、ここでは省略させてください…。
とりあえず、プロペラ回転からの反作用で機体が反対に回る、
という説明だけでは不完全なのだ、という話にはなります。
主翼部。
かなりキレイに整形されるのがわかります。
この前縁部に沿って燃料タンクが増設されており、その給油口が
翼端部にあるのが、偵察用のD型翼の特徴の一つになってます。
写真では見えませんけども(笑)…
といった感じで、今回の記事はここまで。
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