1データ

最後に、スピットMk.IX(9)のライバルその2(その1はFw190A)ことMe109Gシリーズの中から、
手に入れることができたG-1のデータを載せておく。

ちなみに、イギリスは基本的に空軍か航空省が航空機のテストを行っているが
ドイツ、すくなくともMe109に関しては、メーカーであるメッサーシュミット自らが行っている。
イギリス機にもメーカーテストの例はあるのだが、ドイツではメーカーテスト以外の資料が見つからなかった、
という点がちょっと気になったので、一応書いておこう。
ちなみに、「メーカーテスト」による「ドイツ語の公式文章」ですから、
その表記はすべて「Me」109となっておりますぜ(笑)。

アウグスブルグ 1944年1月14日
Me109G-1  シリアル不明 DB605(A?) エンジン
◆武装:20mm×1門 7.92mm×2  
◆機体重量:3.05t (6724lb)  
◆ブースト圧不明 オクタン価不明
最高速度 630km/h(391.5mph)  6600m(21654t.)
3000m(9843ft.)での最高速度 567km/h(352.3mph)
6000m(19685ft.)での最高速度 612km/h(380.3mph)
実用限界高度 11700m(38386ft.)
上昇力  
3000m(9843ft.)まで 3分
5000m(16404ft.)まで 4.8分
6000m(19685ft.)まで 5.6分

次に、繰り返しになるが、比較用にスピットファイアMk.IX(9)のデータももう一回。
前頁と同じものである。

  最高速は5分制限の緊急戦闘出力による
ボスコムダウン 1942年10月22日
F Mk.IX C(通常型)  シリアルB.F.274 マーリン61
◆武装:20mm×2門のみ(テスト用)  
◆機体重量3.39t(7480lb)  
◆吸気圧(boost pressure)最大15.2  オクタン価不明
最高速度 649km/h(403mph)  8352m(27400ft.)
3048m(10000ft.)での最高速度 574km/h(356.5mph)
6096m(20000ft.)での最高速度 612km/h(380mph)
実用限界高度 12830m(42100ft.)
上昇力  
3048m(10000ft.)まで 3.1分
4572m(15000ft.)まで 4.7分
6096m(20000ft.)まで 6.5分

意外な点が二つ。
Me109G1、重量的には3tを超えていて、これはスピットのMk.V(5)よりも重い。
小型で軽快、という印象があったが、そうでもない感じだ。
この重量であの主翼の翼面積では、つらいぞ…。
そのせいかも知れないが、上昇力が、スピットとさして変わらないのも目を引く。
上下方向、垂直方向での機動がMe109のキモだと思っていたのだが、
どうもそうとは言い切れないようだ。
無論、緊急時のズーム上昇などでは話が変わってくるが、
そこら辺のデータはないので、まあ、なんとも言えないところ。

こうして見ると、速度的にはややスピット有利、上昇力では15000フィートまで互角、
そこからはMe109G1が有利、という感じになる。
ちなみにスピットはMk.V(5)の途中から急降下でマイナスGがかかっても、
キャブレターがつまらないようになっており、
この段階では完全に、急降下ドンと来いになっている。
前回載せたように水平面での運動はスピット圧勝なのだから、
その上この数字では、G1、やや苦戦を強いられることになりそうだ。

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