■エンタープライズの違い
さて、そんなエンタープライズ号、本来なら
エンジンが無い、耐熱タイルが模造品、という以外、
その後のスペースシャトル艦隊と同じ機体のはずでした。
が、2号機のコロンビア号の制作中における設計変更によって
いろいろ異なった構造になってしまったわけです。
最後にその辺りを軽く見て置きましょう。
ただし2005年にウドヴァー・ハジーを訪問した時にエンタープライズ号の写真を
あまり撮ってなかったので、あくまで軽く、ですがね。
このエンタープライズはエンジンどころか各種噴射装置類も
全く装備しないで完成してるため、後部はどうもオモチャっぽいというか、
中国の遊園地で作られた適当なスペースシャトルっぽい所があります。
まずはそこから。
上がエンタープライズ、下が“実際に宇宙に行った” ディスカヴァリーで、
高校生のデビュー作の1/48タイガー戦車と、
この道30年、村役場の戸籍係長 田上さん(仮名)による
入魂の1/35タミヤ ティーゲル位の情報量の差があるのがわかるでしょうか(笑)。
エンジンそのものがダミーであること、耐熱タイル部が全て模造品であること、
などがその安っぽさの原因でしょうね。
さらに一番手前、メインエンジンの横にある
大気圏外における姿勢制御用の機動ポッドが、エンタープライズでは
かなり適当なのも見て置いてください。
これはエンタープライズ完成段階はこの部分がまだ完成してなかったからで、
おそらく大よその形状のハリボテで、
あとはバランスを見るためにオモリが入ってるだけでしょう。
よく見ると、垂直尾翼下部の形や、
機体横の黒い耐熱タイルの面積も変わってますね。
お次は主翼周辺と、胴体回り。
ちなみにスペースシャトルの主翼はよく考えたなあ、
という形状になってるんですが、この点はまた
ディスカヴァリーの解説の時に。
まず目に付くのは胴体背中の荷物室のヒンジ部。
さらに主翼後部のエレボン(エレベーターとエルロンを兼ねたデルタ翼の舵)と
その直前の主翼上面の違いなどもかなり大きく、
思った以上にいろいろ変わってる感じがします。
ついでに、やはりエンタープライズはキレイすぎてオモチャっぽいですねえ…。
最後は比較できる同じような角度で撮影した
ディスカヴァリー号の写真が無いのですが、
エンタープライズ号のコクピット周辺。
機首部の姿勢制御用噴射装置類は全て未搭載なので、楕円形の穴だけ見えてますね。
右側、救助用ハンドルの位置を示す黄色い矢印のある部分が、先に見た搭乗用ハッチ。
中央のオレンジ部は本来は覗き窓で、後のシャトルではガラス窓になってます。
ちなみにこのハッチから直接宇宙に出る事はできないはずで、宇宙遊泳などの任務がある場合、
貨物室に減圧室が積み込まれ、操縦席からそちらに移動して宇宙に出ます。
ちなみに宇宙ステーションとのドッキング、乗り込みもそちらでやりますね。
機体表面に見えてる魚のウロコのようなものが耐熱タイル。
全て模造品なので、実際よりキレイな仕上がりになってますが、
黒い部分がより高熱に耐えるための耐熱タイル、
白い部分が、そこまで高温にならない部分の耐熱タイルです。
ちなみに白い部分は後の後期型軌道船では、
不燃性の布のようなシートに置き換えられたため、
このようなタイルを敷き詰めた構造にはなってません。
この辺りはまた
ディスカヴァリー紹介の時に。
といった辺りが主なエンタープライズ号の特徴ですね。
細かく見て行くともっといろいろあるんですが、写真もないので、
とりあえず今回はここまで。
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