お次は主翼上面。
ここに見えるリベットの並びから翼断面が機体に対して斜めになってる、
という高速対応型の後退翼の解説をやろう、と思ってたんですが、あにはからんや、
現物はご覧のようにツルピカでリベット跡なんで見えやしませぬ。

ええ、木製主翼だったっけか?と思ってしまったくらいツルツルなんですが、
実はドイツのジェット機の場合、完成後にツギメをパテで埋め、さらに全体に樹脂塗料を塗って
ツルピカ磨き上げた上で、工場から送り出していたようです。
なので、このようにツギメなんてどこにも見えない、というスゴイ戦闘機が登場する事になるわけです。
…よく1400機以上もそんな機体、造ったな…。

となるとMe262の模型を造る場合、
模型に詰め込める情報量はガタ落ちで、オモチャっぽい状態になりそうですね。

先にチラッと書いた二分割エルロン(補助翼)がこれ。
ちょっとシワが見えてますが、さすがに羽布貼りではなく、金属外板です。



翼端部。
手前に飛び出してるのは速度を量るためのピトー管ですが、
なぜか少し曲がってしまってます。



反対側の主翼下面。
右側に見えてる木製パーツは空対空R4Mロケット用の発射装置。
12本のスリットに1本ずつ搭載できるので、左右で合わせて24発分となります。
ただし、これも恐らくレプリカ。

ロケットランチャーが木製で大丈夫なのかと思ってしまいますが、
あのドイツ人がそうしてるんですから、なんとかなったんでしょうね。



写真の一番手前のがR4Mロケット弾。
写真はスミソニアンのウドヴァー・ハジー別館で展示されていたもの。

ドイツが大戦末期に開発した対空ロケット弾で、当然、無誘導。
このため上で見たように発射する数で勝負、という感じになって行きます。
尾部についてる安定用フィンは発射後にスプリングで展開されるようです。

ガランドによれば、1発でも当たれば4発爆撃だろうと確実に撃墜できた、
しかも敵爆撃機の機関銃の射程距離外から安全に狙えた、と、
ほぼ手放しで絶賛してるのですが、彼の部隊にようやくこれが配備されたのは、
終戦数週間前、1945年の4月末だったそうで、例によって彼を嘆かせております。

ついでに戦後、ソ連がこれを大量にコピーして配備してるみたいです。


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