■それはいかなる集団なのか


2016.11掲載 2024.01改訂


前回、乱数として判断された日経平均株価の上昇率の集団、
この母集団はどうのような特徴を持つのか、というのを今回は考える。

乱数といっても、単純に無法則性のランダムな数列なわけではなく、
実はいくつかの種類が存在する。

その中でも最も重要な、そして一般的なものが正規分布の乱数集団だ。
これは自然界の多くの乱数現象(ブラウン運動など)にも見られるし、
乱数ながらいくつかの法則性を持つため、純粋に数学的な問題として取り扱う事が可能である。

このためアメリカ発祥の数学的な経済学、金融工学(financial engineering)などでは、
ほぼ無条件に株式市場、為替市場の価格の乱数集団は正規分布とみなし、そのまま数学的に取り扱い、
そこからブラック&ショールズによるリスクヘッジ(危機分散策)の基本理論などが生まれて来た事になる。
結論を先に書いてしまうと、これらは全部、理論的には穴だらけなのだが(笑)。

これらの点を理解するには、いくつかの予備知識が必要となる。
今回はそこから見て行こう。


NEXT