■うむ、私が探していたのは、まさにそレーダー
「でも、そんな精度じゃ、射撃管制なんてレベルじゃ
実用にならないんじゃないの…」
だから、アンテナにさまざまな工夫が凝らされる事になるんだよ。
「普通のアンテナではないってこと?」
ベルファストのレーダー群を見たろう。
棒切れ一本の単純なアンテナは一つも無い。
さらには、レーダーの運用方法として、
ローブ スイッチング、等感度方式と呼ばれる走査も使われた。
「なんだそれ?」
アメリカ海軍のローブ スイッチングと日本海軍の等感度方式で
微妙にやり方は異なるんだが、考え方は同じで、2回、あるいは二つのレーダーで
目標のいる方向付近に対し、微妙に角度を変えて走査する。
で、そこで得られた電波感度の差から、その中間値となる方位に敵がいる、
と判断するもので、これが結構当たったらしい。
理屈の上では、4回とか、4個のレーダーでやった方が精度は上がるはずだが、
どこまでやったのかはよくわかない。
ちなみに、この理屈を使って自動追尾レーダーが造れてしまうので、
実際にアメリカ海軍は大戦中に自動追尾レーダーを完成させてる。
…あんまりこういう相手とは戦争したくないねえ(笑)。
「それで、射撃管制レーダーは、結局実用になったわけ?」
なった、と言っていい。
アメリカ海軍の最初の量産対艦射撃管制レーダーFC
Mark.3は
目標が戦艦、空母クラスなら有効走査距離は27km前後、
周波数750Mhz、波長40cmで測距(距離)誤差37m以内だ。
目で見て測距儀で測る場合、25kmでは平均800m近い誤差となるから、
その精度は20倍近い計算になる。
方位誤差も0.11度以下だから、20kmの距離で40m以下の誤差、
25kmでも50m前後に過ぎない。
こちらは目視に比べるとやや劣るが、目視でも15m前後の誤差は残るから、
全く勝負にならないわけでもないんだ。
その改良型で、ほぼ戦争中の主力射撃管制レーダーとなった
FH
Mark8になると、戦艦空母クラスの探知距離は37kmまで伸び、
周波数3GHzの波長10cmで距離誤差はわずかに5m以下(!)となる。
ただし、方位誤差はMark.4と変わらない0.11度だった。
が、これだけの精度があれば、ほぼ照準に必要なデータはそろうから、
水平線の向こうにいて、目視では狙えない敵にも砲撃は可能だ。
方位測定は出来れば目測で行いたいが、それが無理だとしても、
一応、砲撃可能なデータはそろうだろう。
「たいしたもの?」
たいしたものだよ。
もはや夜間も煙幕も意味は無い、と言っていいレベルだ。
実際には配備の遅れや、現場もイマイチ慣れてなかったりして、
完全には使いこなせてないんだが、
それでも、米海軍が戦艦でレーダーを使った砲撃戦は、
どれもほぼ一方的な勝利となっている。
イギリス海軍も、この点はほぼ同じことが言える。
「具体的には?」
それは次回にしよう。
今回はここまで。さすがに疲れた(笑)。
うーん、レーダー編、終らなかったなあ…
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