■戦争は計算だ




「えーと、じゃあ、遠距離射撃では地球の自転の影響、
つまり円運動の中を砲弾が直進する結果、弾の弾道がそれてしまう?」

そういう事だ。
実際にはちゃんと直進してるんだけどね。
回転する円盤では、外周に行くほど速度が上がるから
そういった現象が発生するんだけど、
地球も半球上で見た場合、外周、赤道方向に向かうほど速度が上がるから、
同じような現象が発生してしまうんだよ。
が、これは最初に書いたように極めて小さな影響力しかない。

コリオリの力を求める計算式、

-2×物体の質量×移動速度×その緯度での自転速度(角速度)×sin(その位置の緯度角度)

を見ると最後に緯度角度(自分の位置と地球中心点を結ぶ線と赤道半径の成す角度だ)
のsin(サイン)を代入してる点に注目しよう。
サインは0度で0、90度で最大の1となる。
だから0度の赤道ではこの力は発生しないし、高緯度、
つまり緯度90度の極点に近づくほどその力は大きくなる。

だいたいサインの値が0.5を超える北緯30度くらいまでは、
ほとんど効果がないんじゃないだろうか。
その力が最大となる極点付近でも、今回計算したように、
ざっと25km先の相手と比べても時速で6.5kmにしかならないんだ。
精密な射撃を期するには、無視するには微妙な数字ではあるけども、
本気で40kmの遠距離砲撃戦とかを考えていたんでなければ、
そんなに深く考えて無くてもいいはずだ。

「なんだかメンドウだねえ」

めんどうなんだよ。
実際、戦争なんてやるいもんじゃない。
こんな計算ばかりやってたら、人心は荒れる一方だろう。

というわけで、大脱線となってしまった今回ですが、
次回からはキチンとレーダー照準の話に入って…行ける…はず…。


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