■それでもいつか、当たる日はきっと来る



というわけで、戦艦や巡洋艦の主砲がいかに命中しないか、という話でした。

「理想的な状況で着弾しても、命中するとは限らないんだねえ」

それどころか、正直言って完全に運、という部分がかなり大きい。
戦争という名のサイコロ賭博という感じだねえ。
なにしろ確率でしかないんだ。
挟叉弾が出たところで、いつかは当たる、という保証はない。

「そこまで当たらないもんかね」

当たらないんだ。
スリガオ海峡戦の時のデータなんだが、戦艦ウエストバージニアが
戦艦山城に対し、主砲8門の砲撃で13回の挟叉をだして、
3発しか当たらなかった、という話がある。
もっとも、この時は標的の山城が沈没してしまってるため、
アメリカ側のデータだけしかなく、しかもこれ、夜間砲撃だから、
どこまで正確なのかは微妙だけどね…。

「えーと104発中、101発はただの至近弾で終ったのか。
すさまじいムダだねえ…」

基本的に、砲撃戦というのはそうなるんだよ。
レイテの悪夢、サマール沖海戦の時の日本軍なんて艦隊全体の
推定発射弾数は2500発以上(副砲を含む)、
内命中弾は120発前後というデータもある。
まあ、実際、演習時でも命中率は10%で御の字だったから、
実戦なら5%前後が現実的なとこかもしれない。
ちなみにこの時、アメリカの護衛空母ホワイト・プレーンズ(CVE66)は
3回の挟叉を食らったが、1発の命中弾もなかったそうだ。


「地球にきびしい戦法だね」

まったくだ。そもそもキチンと砲撃してこれなんだ。
その前段階である照準がどれだけ重要か、というのが次回からのお話。

はい、今回はここまで。


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