■可能な限り再現してみよう
では実際に水平線付近の相手はどんな感じに
測距儀では見える事になるのか。
これを少しだけ見ておきましょう。
大和&武蔵の15m測距儀の視角データが残っており、これが1.5度。
で、視角がわかってると、
視野の幅=tan視角×距離(d)
この式を使って、どれだけの広さが見えるのか計算が可能です。
視角が1.5度なら
35kmで幅約917mが見える。
30kmでは幅約785mが見える。
25kmでは幅約655mが見える。
それってどんな感じ?というのを今回は見ておきます。
今回のモデルさんはこの人。
イギリスの巡洋艦、HTMSベルファスト閣下。
全長で187mと、戦艦や重巡、空母と比べるとやや小型の艦です。
水平線までの距離は最初に書いた大気による屈折を考慮したものとします。
天候は晴れで水蒸気も無く、世の中全てオレの思い通り、という
理想的なコンディションの中で見た、という前提で行くと、以下のようになるはずです。
まずは距離35km。
HTMSベルファストは画面の約1/5の大きさです。
45mの高さからでも、見えるのは喫水線から相当上の部分のみ。
これしか見えてない状態で、二重の画像を重ねるとかして
測距儀で距離を測るのは難しいでしょう。
画像ではわかり難いですが、船体の上部構造物が見える、
という程度で、船体はギリギリ見えるかどうか。
そもそもどちらが艦首かすらわからないので、
どっちに向ってるのかすら、判別が面倒な気がします。
日本の重巡 熊野がサマール沖海戦で損傷して戦場を離脱した後、
遠くの岩礁を戦艦艦橋と見誤って戦闘配置を取った、という話がありますから、
やはり遠距離からの識別は相当困難なのでしょう。
距離30km。
この段階でほぼ全体像が見えてきます
左に向かって進んでた、が正解でした(笑)。
この時で画面の1/4程度の大きさ。
必要な情報を観測できる、というのはここら辺りの距離からのような感じがします。
距離25km。
これHTMベルファストは完全に水平線の上に出ます。
大きさも画面の1/3近くありますので、観測時の測定誤差も少なくすむはず。
…例の回避不能誤差さえなければですがね(涙)…。
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