■そこには大気



電磁波、すなわち可視光線や紫外線&赤外線、
そして電波などは、大気によって屈折します。
(光と電波は同じ電磁波というのは今後の記事で意味があるので覚えといてください)

基本的に電磁波はやる気もなく根性もなく、信念もないので、
空間に物質(空気とか水とかガラスとか)が満ちている場所で
密度の異なる物質で満ちた空間へ突入する時、進路が曲がってしまいます。
これが屈折です。
水中から外を見たり、あるいはお風呂のお湯の底を
上から覗くとゆがんで見えるのが屈折の具体例ですね。

地球上では土地の緯度、高度、そのほかの要素によって、
当然、気温にバラつきがあります。
気温が異なる、と言うことはこれは大気密度が異なるわけです。

この結果、電磁波(光、電波)は空気中を通過すると、
屈折、すなわち折れ曲がるため、
実際の水平線より向こうから来た光が届く、
つまり水平線の向こうにある景色が見えてしまう、という事が発生するのです。
この時の“実際に見える”地平線までの距離を視地平距離と呼び、
一般的に実際の地平線より、視地平線の方が遠くなります。

ここら辺り、最大では数%前後の差となるため、
戦艦主砲の射程距離40q前後の話をするなら、
ちょっと無視できませんね。

で、この視地平距離を求める場合、途中経過を省いて計算式だけ書くと
(先に書いた式に大気差の要素を入れて計算してる)



となります。
視点の高さはm単位ですが、距離はqで出てきますから注意。
でもって、これも高さ0mの水平線までの距離ですから、
相手にも一定の高さがある場合、両者の合計の数値が
お互いを視認できる最大距離です。

ただし、この辺りも地球半径の数字の取り方によって数字が変わるため、
海上保安庁の天測計算表だと係数は2.072、
メートル法に換算すると3.837となってます。
まあ、誤差の範囲だとは思いますが、私の計算を取るか、
海上保安庁を取るかは皆さんにお任せします。
私なら海上保安庁を信じますが(笑)…。

ただし計算で使ってる大気差の数字は一般的な平均値であり、
本来、気温、気圧、水蒸気圧で変動する以上、決して完全ではあません。
よってこの計算で出てくる数字はあくまで目安だ、
というのは覚えておいてください。

はい、難しい話はここまで。
次回から、本題に入ってゆきますよ。


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