■ドイツ兵だってアメリカーナ

余談ながらアメリカのトラックサイズは積載量で表記されるのだが、
ドイツの場合、自身の車体重量を含むので、数字的には大きくなってしまう。
だいたいアメリカの1.5(1 1/2)tトラックとドイツの3tトラックが同じクラスらしい。

で、例の爆レポ(略称)による1944年データでは、
3トン以上の全トラックのうち78%を、オペル(GM)、フォード、
ダイムラーベンツの3社で生産している、と報告しているのである。

これは4.5トン以上の大型トラックを含む数なのだが、
実はフォードとオペルは3トン中型トラックの製造に特化していた。
だから、3トン中型トラックに限れば、この2社だけで、
相当なパーセンテージを占めたはずだ。

ドイツの3トントラックの戦争期間中における全生産数は約24万台。
出所不明な数字ながらそのうち40%はオペルが生産した、
とされるから、ざっと9万6000台は造った、ということになる。
50万台以上は確実に造っちゃった
アメリカ本国に比べればアレだが、それでも結構な数だろう。

これが、いわゆるオペル ブリッツというやつで、
フロントグリルに稲妻のような
2枚板のエンブレムが付いてるのがこのトラック。
1/35でタミヤが出してるドイツ3トン4x2カーゴトラックがこれだ。
まあ、ドイツ陸軍の行く先はどこにでもオペルブリッツあり、
という感じだったらしいから、まさにドイツの軍馬である。

残りをダイムラーベンツとフォード、その他の会社で造っているのだが、
まあ、フォードとGMをあわせると、
どんなに少なく見積もっても10万台は軽く超えてくるわけで、
いやもう、アメリカ企業がんばってます(笑)。
3tトラックに限れば、間違いなく全生産量の半分は超えてくるはず。

しかも、これだけじゃないんだな(涙)。



微妙に見づらい上に実はこれチェコのプラガ(Praga)社のトラックだったりするが…。
アメリカの両社が造っていたのも、これと同じ3トントラック。
先にも書いたが3トンと言うのは積載量ではないので、まあ中型レベルですね。

が、1940-43年で見ると、この3トントラックの生産数が約19万4千台、
大型の4.5トン以上が約3万8千台だから、
ドイツのトラックのうち8割以上がこのサイズだった。
すなわちアメリカの両社が造っていたのは、まさにドイツの主力トラックなのだ。

ちなみに、オペルのブリッツはGM買収以前から開発されており、
ドイツオリジナルの車体なのだが、どうもフォードはアメリカで造っていたのと
同じタイプをドイツでも生産していたらしい(笑)。

昔、アメリカ兵が「ドイツ兵がアメリカのトラックに乗ってる!」
と驚いてる話を何かで読んで、その時はドイツ軍が分捕ったトラックを、
そのまま使ってたんだろう、と思ったんですが、
今思えば、ドイツ製のフォードトラックだったんだろうなあ。


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