■戦いは同時進行だった

では8日の戦いも、最初にその流れを表にして確認してしまいましょう。
この日、戦闘に参加してたのはMO機動部隊とTF17だけですから、
7日に比べると、非常にシンプルなものになります。
とりあえず、敵発見の報告を受けて、攻撃隊を出すところから見てゆきます。

ちなみに8日に関しては護衛部隊、第7駆逐艦隊(潮&曙)の戦闘詳報に
MO機動部隊の戦闘詳報に出てない事がいくつか記載されており、
この日に関しては、これも参考資料として使ってます。

 時刻

 MO機動部隊

 第17機動部隊(TF17)

9:00


9:00 瑞鶴の上空直衛機 3機が発艦

9:10〜15ごろ  五航戦 攻撃隊出撃 
上空で編隊を組み、9:30ごろ艦隊上空から去る。

9:48  攻撃隊が艦隊周辺を大きく一周してから
飛び去ったため、(編隊位置を調整してた?)
この時間にMO機動部隊から水平線付近に遠望される。
護衛の第七駆逐艦隊が敵攻撃隊と誤認、対空砲火開始。
この時は戦闘旗まで上げられており、
MO機動部隊は軽いパニックになっていたらしい。

最終的に瑞鶴から6機のゼロ戦が発艦し
10:15ごろ、この編隊に接触して友軍機と判明。

9:40  TF17と接触中の菅野機より
敵攻撃隊が発艦中との連絡入る。

9:50 さらに攻撃隊発艦、
同時に上空に直衛機を上げた、との報告が入る。

この報告を受けMO機動部隊は
空母を中心に重巡、駆逐艦を配置、対空戦闘の陣形を取る。
ただ、この時間はアメリカ側の記録に比べ
30分以上遅く、なぜここまでの時間差が出たのか
よくわからない。
 

9:01 USSヨークタウン攻撃隊
発艦開始

9:08 USSレキシントンに置かれた
航空戦闘司令部が今回の海戦全体を指揮できるよう
艦隊全体指揮権をフレッチャーから一時的に譲渡される。

9:10〜9:20 USSレキシントン攻撃隊
発艦開始 

9:30 USSレキシントン索敵機の帰還始まる。
今回は全て敵味方識別装置(IFF)がある
USSレキシントン隊なので
とくに問題もなく艦隊に接近し、収容が進む。
朝から上空警戒に飛んでいた戦闘機も一時収容開始。

9:41  USSヨークタウンからF4F 4機が
上空警戒のため発艦

 10:00


10:08 菅野機、TF17への接触を中断、帰途につく

10:20  翔鶴より3機の上空護衛戦闘機、発艦。
最終的に10:30ごろまでには翔鶴の全戦闘機、
9機が上空で配置に付いたと見られる。
対して瑞鶴では朝から上空にとどまっていた3機のみで、
まだ7機が艦上で待機中だった。
(「暁の珊瑚海」では翔鶴に第4小隊の2機が残ったとされるが
翔鶴飛行機隊の戦闘行動調書には発艦とあり間違いだろう)

10:30  索敵機の帰還始まる。

10:53  艦隊西方にUSSヨークタウン攻撃隊視認さる

10:57  瑞鶴に残っていた7機の直衛戦闘機の内4機が発艦、
ギリギリのタイミングと言ってよい。
最後の3機小隊は、先頭の機体がエンジントラブルで
甲板上で止まってしまい、全て足止めされ、発艦できず。

ここまでのんきな司令部の判断理由はよくわからず。
先に書いたように、菅野機の報告が30分以上ずれてるので、
まだ時間的に余裕があると勘違いしてたのか?

10:58  USSヨークタウン隊の攻撃開始。
同時にMO機動部隊、対空戦闘開始。


10:13 USSレキシントンからSBD10機を
対潜哨戒に発艦させる。
これらは日本側の空襲修了まで上空に居たはず。 

10:16 TF17に接近した97式大艇を
USSヨークタウンの戦闘機が撃墜。
おそらくツラギから飛び立った大艇だと思われる。

ほぼ同時刻に、20分近く前からUSSレキシントンが
レーダーで捉えていた
菅野機と思われる機体にも戦闘機が向けられたが、
こちらは接触にすら失敗してしまう。
左で見るように菅野機はまさにこの時間に
接触を中断しており、上手く追っ手をかわしたようだ。

10:40 太陽方向から来ると思われる急降下爆撃機への
対空砲火が、僚艦に当たらないよう、艦隊の位置を調整
(日本の艦爆は必ずしも太陽を背にしないのだが…)

10:48 最後の索敵機、帰還。

10:55 USSレキシントンのレーダーが
方位20度(北北東)、68海里(約125.9km)の位置に
高速でTF17に向かってくる大編隊を探知。
(ただし報告者によって数字が異なり、
距離は58海里(107.4q)とするものもある)
これは日本側がTF17を視認するより10分速かった。
が、アメリカ側は、この優位を生かせないまま終わる。

(10:58 USSヨークタウン攻撃隊 
MO機動部隊攻撃に入る)

 11:00


11:00  後方に居た翔鶴が敵急降下爆撃隊の攻撃を受ける。

11:02  瑞鶴とその護衛艦はスコールの雲の下に入り、
敵の攻撃を逃れる。
いくつかの小さなスコールを通過、という話と、
大きなスコールを10分以上かかって通過、という話があるが、
どっちが正しいのか判断材料がない。

(11:05 五航戦の攻撃隊、敵空母機動部隊TF17を発見)

11:05  誰も記録を残してないのだが(涙)、おそらくこの頃、
翔鶴に最初の1000ポンド爆弾が命中。
間もなく第二弾も着弾、翔鶴の飛行甲板は使用不能になり、
もはや艦載機の離着艦はできなくなる。

(11:15 五航戦攻撃隊 TF17へ攻撃開始)

11:15ごろ  敵第一次攻撃終了

11:18  瑞鶴の戦闘機隊、燃料補給のため着艦。
記録だと6機だが、出撃中の7機全部着艦してるはず。 

11:45  USSレキシントン攻撃隊を視認。

11:46  対空戦闘開始


 11:06 USSレキシントンから5機、
USSヨークタウンから4機、迎撃戦闘機が発進。
これでTF17手持ちの戦闘機は全部発進した事になる。
既に上空に居た4機+9機で計13機。
さらに5機のSBDドーントレス索敵爆撃機を
対空任務でUSSレキシントンから送り出す。

先に上空に居たUSSヨークタウンの4機のF4Fは
燃料不足のため艦隊上空に残し、
新たに離陸した機体を
北北東の敵編隊迎撃に向かわせる。

ところがこの時期の警戒レーダーは周波数が低く、
距離以外の情報は不正確だった。
すなわち、方位、高度にはかなりの誤差が出る。
このため艦隊から20〜30海里(37〜55q)の位置で
迎撃するべく指示された戦闘機隊は
ことごとく接触に失敗、急いで艦隊上空に引き返す事に。
(2機だけ艦攻部隊に接触したという話もあり)
結局、早期発見には成功したが、
その優位は活かせず、艦隊上空での迎撃となった。

11:15 五航戦隊、攻撃開始。
同時にTF17側も対空砲撃開始。

11:21 USSレキシントンに最初の魚雷が命中。
その後、魚雷がもう1発、続いて爆弾も命中し、
艦内で火災が発生。

11:23  USSレキシントンのレーダーと通信装置故障。
一時的に戦闘指揮が取れなくなるが20分後に回復。
この間、 USSヨークタウンから
「レーダー故障、総員、艦隊を守れ」
の通信が上空のF4FとSBDに送信された。
(ただしこの辺りの記述があいまいで、
壊れたのは USSヨークタウンのレーダーと
USSレキシントンの通信装置、とも読める。
が、 USSヨークタウンは航空戦の指揮を執ってないから
レーダーが壊れても問題ないはず。
そもそも何度か書いてるように
USSヨークタウンのレーダーは怪しいのだ。
よって、 USSレキシントン側の故障としておく。)

11:27 USSヨークタウンに爆弾が命中。
USSヨークタウンの被弾はこの一発だけ。
直後に五航戦攻撃隊の空襲は終了。

11:35 上空護衛のF4FとSBDの収容開始。

(11:45 USSレキシントン攻撃隊 
MO機動部隊攻撃に入る)

 12:00


 12:00ごろまでに瑞鶴のゼロ戦、全機10機が発艦。
今回もまたギリギリのタイミングだった、
というかほぼ間に合ってない。学習しないのね…。

この段階で翔鶴は既に甲板の破損で着艦不能となっていたのだが、
翔鶴側のゼロ戦の行動は記録が無く、その行動はよくわからない。
どうも補給なしのまま、ずっと上空に居た可能性が高いようだ。

時間不明  USSレキシントン攻撃隊からも
翔鶴は1発の命中弾をもらっており、計3発の命中弾が出た事に。

12:15ごろ  敵第二次攻撃終了

 12:23 USSレキシントンの火災の鎮火、
応急処置が終了、
25ノットでの航行を再開。

12:40  USSレキシントンから上空警戒のF4F 5機、
SBD 7機が発艦。

12:47 USSレキシントン艦内で突然大爆発起こる。

13:00 

 
13:10ごろ 攻撃隊の帰還始まる 
翔鶴着艦不能のため全機、瑞鶴で収容


 13:20ごろ  USSレキシントン攻撃隊の
帰還始まる。
この段階までなら USSレキシントンは
離着艦が可能だった。


といった感じとなりますね。

次回から、それぞれの攻撃を少し詳しく見てゆきましょう、
という感じで、今回はここまで。


BACK