■北北西に針路を取ればよかったのに
さて、ではアメリカ側の状況はどうなのか。
これまた同じ地図で確認してみましょう。
ちなみにこの段階でのアメリカ側の戦力は
■空母 USSレキシントン USSヨークタウン 計2隻
■重巡 USSアストリア USSポートランド USSチェスター
USSミネアポリス USSニューオリンズ 計5隻
■駆逐艦 USSモーリス USSアンダーソン USSハムマン USSラッセル
SSフェルプス USSエイウィン USSモネハン USSウォ−デン USSデュウィー 計9隻
(ただし駆逐艦の内、2隻が別行動をしていた、という話もあるのだが確認できず)
単純に艦数で見ると、重巡も駆逐艦もアメリカ側が多かったわけです。
これらがまとまって対空戦闘を行って、後で見るように、
五航戦の攻撃隊に多大な損失を与える事になるのです。
ちなみに航跡図も当番制になってたのか、
この日の記録はUSSヨークタウン側のものになってます。
これはUSSレキシントンのものに比べてずっと精密で、
緯度経度がキチンと記入されてます。
なので前日に比べると夢にように正確なのですが(笑)、
それでも微妙にツジツマが合わない部分があり、
多少、その辺りは調整して描き込んでます。
ついでにUSSヨークタウンの航跡図は、8日の夜明け後の航跡しかなく、
さらに、あの(涙)USSレキシントンの航跡図は7日の20:53で終わってるため、
実は、この夜、TF17が何処で何をしてたかよくわからないのです。
前日夜の座標と朝の座標のズレから、おそらく夜中に一度西に向かって、
その後南東に針路を変えた、と思われますが確証はありません。
この間の位置座標の報告もないので、お手上げです。
なので、おそらくこんな感じだろう、という推測の航跡を記入してますが、
可能性としては夜の内にアンドロメダ星雲までいきなりワープして星間戦争に参戦、
その後、あわてて時空を飛び越え珊瑚海に帰ってきた、という可能性も否定はできませぬ。
この点は、おそらく永遠の謎でしょう。
さて、すでに書いたようにアメリカの空母機動部隊では索敵部隊は当番制でした。
この日はUSSレキシントン側の当番で、夜明け後の6:45ごろ、18機もの索敵機を飛ばします。
(索敵隊VS-2のSBD
12機では足りず、爆撃隊VB-2のSBD
6機も駆り出された)
この18機による索敵という豪快な決定は、フレッチャーが敵は北西、という
前夜のレーダー追跡の結果を信じなかったためです。
彼は、360度全方位の索敵という命令をこの日、出していました(笑)。
さすがにやり過ぎ、と思いますが、それまで北西に居る、と思い込んでいた
日本の空母の攻撃機が正反対の南東から飛んできた昨日のショックから、
必要以上に用心深くなっていたのかもしれません。
また、既に述べたように、実際にレーダーの報告も必ずしも当てにならないので、
ある程度まで、仕方ない、という部分はあったでしょう。
それでも南西側の索敵は要らないだろう、と思いますし、
実際、これだけの数を飛ばしてしまって、アメリカ側の打撃力は大きく落ちてしまいます。
この点は、フレッチャーの落ち度、と言えなくもないです。
ただし、さすがに一晩中南下した以上、敵が南側に居るなら至近距離だ、
と考え、南北で索敵の距離を変えました。
正確には上の地図にある80度-260度の線で南北に分け、
北側は12機で200海里まで索敵、南側は半分の6機で100海里だけの索敵としました。
でもって、アメリカ側も昨日と同じく、それぞれ単機で飛んでます。
後は地図で見ればわかるように、両機動部隊ともに、
その索敵範囲は相手を完全に捉える事ができるものでした。
そしてほぼ同時、8時半直前の段階で、それぞれが敵艦隊を発見、
人類初の、正規空母同士の海戦が、ここに始まる事になります。
という感じで、今回はここまで。
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