■護衛部隊も一筋縄で行かぬ
さて、では残りの要素も見ておきましょうか。
1. ポートモレスビー攻略部隊
2. 水上基地建設部隊
3. 上陸部隊の護衛艦隊主隊
4. 空母機動艦隊
順番が逆になってしまいましたが、この作戦の主人公、
1.ポートモレスビー攻略部隊の輸送船団についても見ておきしょう。
さすがにこれに関しては、比較的単純な動きとなってます。
ちなみに、こちらは先に書いたように、水上機基地建設部隊の出撃から4日後に
ラバウルの湾内から出撃する手はずで、実際そのように作戦は進行します。
とりあえずラバウルを出てまっすぐポートモレスビーに向かう感じですね。
ただし先に見たツラギの攻略部隊から、駆逐艦2隻と掃海艇、さらに補給艦などが
ツラギの作戦終了後、こちらに向かい、途中で合流することになってました。
ちなみにポートモレスビー攻略部隊と行動を行動を共にした直衛部隊は
駆逐艦による第六水雷戦隊なのですが、
菊月、夕月の2隻の駆逐艦は先にツラギに向かったため
当初の護衛は旗艦の軽巡 夕張と5隻の駆逐艦だけだったようです。
では、それ以外の護衛部隊、祥鳳の居る主力護衛艦隊、
そして五航戦を中心とする空母機動部隊は何をしてたのか。
まあ、これらが
3. 上陸部隊の護衛艦隊主隊
4. 空母機動艦隊
の動きになるわけで、こちらはラバウルからではなく、
より北のトラックから出撃する手はずになっていたのです。
こんな感じで、はるか南のラバウルから出撃するポートモレスビー攻略部より
護衛艦隊のMO主隊は4日早く、五航戦を中心とするMO機動部隊は3日早くトラックを出航、
その後、ソロモン近海に入る事になってました。
トラックから出撃する速度が遅い(半分以下)のポートモレスビー攻略部隊より先に
作戦海域に入り、索敵を行ってその安全を確保する、という予定だったと思われます。
この内、主隊に配属された空母 祥鳳だけは先に書いたような理由で、
ポートモレスビー攻略部隊とほぼ行動を共にする事になるのですが、
それでも、こちらは予定通りの行動を取っていました。
問題は、五航戦を中心とした空母の機動部隊の方に生じていたのです。
こちらはソロモン諸島をぐるっと東に大回りする、かなり遠回りなルートを取っており、
ラバウルから真っ直ぐ南下するポートモレスビー攻略部隊から
軽く1000km以上も東に位置する事になります。
なんでまた、という感じですが、これはポートモレスビー周辺の連合国側の
索敵をかわし、先に発見される不利を避けたのが原因らしいです。
(結果論ではあるが、実はアメリカ陸軍と海軍の連携はうまく行っておらず、
陸軍索敵機からの情報はほとんどアメリカ空母機動部隊に届いてない。よって無駄な努力ではあった)
無駄な動きの上に、護衛の対象とこれだけ離れて大丈夫なのか、
と思ってしまいますが、高速な空母機動部隊なら、問題なく追いつける、と考えられたようです。
当初の予定では、ポートモレスビー攻略部隊がラバウルを出航する日(5月4日)には
ツラギのよりも西の位置までMO機動部隊は進出、この海域を哨戒して制圧する予定で、
実際、普通にやってたらそれは成功していたと思われます。
が、ここで先に見たラバウルへのゼロ戦輸送が足を引っ張ることになりました。
当初は、発艦させて誘導のために一緒に飛んでいった艦攻を回収すれば
あっさり終了、と思われたこの任務は、ラバウル周辺の悪天候に阻まれ、
丸一日以上、艦隊がこの海域に留まる事態になってしまうのです。
ラバウルの航空兵力が極端に不足してたのは事実ですが、
ここまで作戦を遅延させる価値は無いはずなんですが…
どうも五航戦の皆さんも、まだ見ぬアメリカ機動部隊をナメていて、
何、なんとかなるさ、位に考えていたフシがありますね。
が、当然、何とかなるわけが無く(涙)、アメリカ側にツラギ空襲の機会を与え、
さらにこの時、単独行動していたUSSヨークタウンを補足するのに失敗、
(これを襲撃できれば2対1の圧倒的に有利な状況だった)
そして以後、錯誤の連鎖が次々に起こって行くことになるのです。
とりあえず、護衛艦隊は西に祥鳳を含む主隊が、
東に空母機動部隊がそれぞれ居た、つまり東西で二手に分かれて居た、
というのは海戦の結果に大きな影響を与えることになるので、覚えておいてください。
ちなみに、アメリカ側の作戦は珊瑚海南東にて
USSホーネットとUSSレキシントンが合流した後は単純明快でした。
日本海軍の輸送艦隊はポートモレスビーに向けて南下すると
暗号解読でわかってるのですから、これを待ち構えるだけです。
実際は、ツラギ占領の知らせを受けて、これを空襲に向かったり、
オーストラリア艦隊との合流や、後で見るような一部の巡洋艦などを
分離して行動させる、という事もやってますが、基本的には余計な事をせず、
着実にポートモレスビー上陸作戦を潰す、が目的となってます。
シンプル、と言っていいでしょうね。
実際、他に書くことは何もありませぬ。
といったところがMO作戦の内容で、ようやく次回、その実際の展開を見てゆきます。
とりあえず、ようやく珊瑚海に片足は突っ込んだな…
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