■行くぜLX-3
都電 大塚駅の夕暮れ
というわけで、カメラの中でレンズが結ぶ像は円形なのよ、
というところまで、話を進めました。
それがどうした、という話を今回はします。
まずは、その円形の像(イメージサークル)から、どうやって画像を切り取るのか、
というとあたりから、話を進めて行きましょう。
(現在の記事は、アップ後、指摘いただいた部分を修正してあります)
普通のデジカメなどは、こんな感じ。
イメージサークル(白い部分)の画面中央部を横4:縦3の比率で切り取ります。
黒枠で囲んだ部分の中が、画像として残される、という感じです。
なぜこの比率のサイズで切り抜くのか、というと、
深い意味は無く、単にアナログ放送時代のテレビ画面サイズです。
初期のデジカメに使われていた受光部パーツ、CCDはビデオカメラからの流用、
あるいはその改良型、というのが多く、以後その流れが定着してしまった、
というだけの、特に何の芸もヒネリもない画面サイズです。
ちなみに35mmのフィルムでは3:2でもう少し横長のサイズとなり、
デジタル放送用のカメラなどだと16:9で、さらに横長になります。
ここで、ちょっと考えましょう。
アナログテレビ、デジタルテレビ放送、そして写真のフィルムも、画面が正方形ではなく、
比率こそ違えど、なぜ全て横長なのか?
イメージサークルが円なら、正方形で切り抜くのが一番効率いいじゃん?
実際、そういうフィルムの使い方をするカメラもあるんですが、
一般的には普及してませんね。
まあ、その理由は簡単で、人間の視界に少しでも近づけようとしたからです。
人間の目は横に二つ並んでますから、当然、上下より、左右の方が視界が広い。
人間は真正面を見てると足元が見えませんが、左右方向は、
自分の足元なんかよりずっと遠くが視界に入ってるのです。
なので、「世界を強引に平面で切り取ってしまった」
写真でも、横長の方が、印象としては自然に近いものになります。
感じ方に個人差はありますが、一般的に、横方向に広い映像は、
人間の視界に近く、見る者に開放感を与えます。
そこら辺を理解しないで、16:9の横長大スクリーン使って、
人物のアップばかりを撮ってる映像関係者は皆、滅んでしまえと、
個人的にはずっと思ってたりします(笑)。
デジタル放送などで使われる16:9画面カメラの場合、
こういう感じにイメージサークルから画像を切り抜きます。
左右方向をイメージサークルの限界付近まで使っている代わりに、
その上下方向は、サークル内に納めるため、かなり短めになるわけで。
ちなみに、もっとも無駄なくイメージサークルから画像を切り抜ける
正方形で画像を切り取ってしまった場合、その横幅が
16:9比率の時よりも狭くなる、というのもこの図で理解できるはず。
もっとも大きく切り取れる=もっとも視野が広い
ではない、というのは重要なポイントです。
なので、風景などを撮影する場合、その左右の広がりから、
16:9画面がもっとも自然な印象を受ける比率であり、
視野の広さを最大に利用した比率サイズなわけです。
これを広い範囲を切り取れる広角レンズと組み合わせれば最強、となります。
さて、そう考えた場合、アナログテレビ由来の4:3サイズはかなり中途半端です。
実はここら辺、初期のテレビ放送技術の限界が基準になってる部分でして、
送り出せる情報量も、製造できるブラウン管もこの比率が限界だったのでした。
これ以上、横長にすることはできなかったのです。
なにせアメリカでテレビ放送の規格が設定され、
本放送が始まったのは真珠湾攻撃よりも前、1941年7月の話ですから。
が、そのサイズを21世紀になっても、まだ引きずっている、というのは別問題。
個人的に、そんなデジカメメーカーの姿勢は受け入れ難いものがありました。
この4:3サイズで切り取れる世界は当然、横方向の開放感が無く、
せめて従来のカメラで使われていた35mmフィルムの画面比率、
横方向がもっと広い3:2になぜ戻さないのだ、と思ってたわけです。
高級一眼レフなどでは3:2比率の受光センサー搭載機はありましたが、
私のカメラの使い方の場合、一眼レフではダメなのです。
そこにやってきたのがパナソニックによるLXショックでした。
パナソニックは、4:3画面デジカメの横っ面を張り倒し、
世界の彼方に蹴り飛ばしたあげくに、3:2をも超えた横長画面、ワイドな16:9比率で
イメージサークルから画像を切り抜く衝撃的なコンパクトデジカメを発売します。
2005年8月にデビューした初号LX、LX-1です。
その結果、私のハートをワシ掴みのうえスリーパーホールドに持ち込み、
現在にまで至るのです(笑)。
今でも、私は世界が気持ちよく切り取れる、というただ一点を理由に、
LXシリーズ以外のデジカメに興味がありません。
LX-1の話題なのに、写真は2代目の16:9カメラLX-2。
なぜならば! LX-1は購入約1年後に「自転車に乗ってたら消えた(笑)」
という未だによくわからない現象で紛失してしまったから…。
その結果、速攻でこの2代目16:9カメラLX-2を購入することに。
でもって、このカメラもかなりよく出来ていて、
それまでの歴代最長記録となる約2年半にわたり、
私の主力カメラを勤めます。
普通に考えれば、円形のイメージサークルからもっとも効率よく画像を切り抜くには
正方形が正解なのですが、先にも書いたように、
人間の目で見た場合、結構不自然な世界となります。
ここら辺がジレンマでして、イメージサークルの画像は円形ですから、
その中でどこを捨てて、どこを残すのか、というのが、
カメラの大きなテーマの一つになってきます。
(多くのカメラメーカーは、全く考えてませんが(笑))
それに対する、人類史上最強最高にエレガントな回答が、
現在パナソニックから発売されているコンパクトデジカメのフラッグシップ、
LX-3だ、というのがこの記事の主題であり、ようやくそこに入って行きますよ(笑)。
…ちなみに余談ながら、究極の解決策としては、
切り抜くなんて事をやめて、イメージサークルを丸ごと受けとめる
円形の受光センサーを作ってデジカメに載せてしまえばいいような。
撮ったデータから、使う部分だけ切り抜けばいいだけだし、
データなんだから別に四角型にこだわる必要はないし。
そんなデジカメが発売されたら、私は2台買うけど…まあ、無理でしょうね(笑)。
アナログテレビサイズ&一般的なデジカメに多い4:3比率の画面。
この写真、かなり高角レンズ(LX-3ですから35mm判換算で24mmレンズ)
で写してるので、通常のコンパクトデジカメよりかなり広い範囲が入ってます。
それでもまあ、切り取れる世界はこのくらいのサイズ。
同じレンズで16:9比率の画面。
横方向が縦の1.8倍近くあり、これだけの範囲が切り取れると、
それなりに人間の視界の印象に近づきます。
まあ、個人差があるので、4:3画面の方がいいじゃん、
という人もいるでしょうけど、私は断然、横長派なのです(笑)。
人物写真や、ペット、物品撮影がメイン、という場合、対象に注意が集中してしまうため、
空間的な広がりは無意味になって16:9画面もそれほどメリットがないのですが、
風景や、屋内の撮影が主戦場となると、この比率の持つ広い視野は極めて魅力的です。
特に狭い屋内で、大きな撮影物(戦闘機とか(笑))を撮る場合、
この16:9は凄まじいまでの戦闘力を持ちます。実際、何度も助けられました。
ちなみに、上の比率の異なる画像比較は
パナソニックのカメラだからできる芸当で、
一般のカメラでこの撮影比較はできません。
それはなぜか、というのは次のページで。
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