せっかくの新年なのでどうでもいい話を一つ。
理系の日本語は意味不明な物が多いですが、その大半は翻訳の失敗です。意訳に走った結果や中国語から適当に引用してしまった結果が現在の悲惨な状況に繋がっています(欧米の言語を中国語から漢字にパクるのはキリスト教徒もよくやったが)。例えば関数(そもそも意味を成していない)、積分(積むのか分けるのかどっちやねん)などがその例ですが、力学に至っては悲劇としか言いようがない日本語化が行われました。
その極北が重力、引力でしょう。そもそも欧米圏の言語でこの二つは分離してないし(日本人が影響を受けたと思われる英語ではどちらもGravity、ドイツ語でもSchwere)、なぜ二つの言葉にして面倒な理屈を理解するハメになったのかよく判りませぬ。昔の学者さんに頭悪い奴がいたんだろうなあ、としか説明のしようが無いのです。
さらに困ったことにそもそも両者は「力」ではありません。この用語を未だに何の問題も感じずに使ってる日本の理系関係者は全員馬鹿なのか、と常々思っていますが、両者は「加速度」であり「力」ではありません。これを「力」だと思っちゃった段階で力学の基礎から理解できなくなります。そしてそういった人たちがやってる「科学的な議論」は滑稽を通り越して悲劇だな、という例を最近もまた見たのでした。
例えば体重80㎏のオッサンとと50㎏のお嬢さんが高度2000mで機外に放り出された時、両者が均等に受けるのは「1秒間に9.8m/sずつ加速される加速度」です。力ではありません。もし二人が地球から均等な「力(F)」を受けているのなら、重ければ重いほど加速度(a)が大きくなるはずです(F/m=a)。式を見れば判るように加速度の大きさは単純に質量(m)に比例しますから、「引力」が「力」なら質量(体重/重力加速度)が倍になれば加速度も倍になります。
ここで機外に放り出された人達が手を繋いだらどうなるかを考えます。体重50㎏のお嬢さんが体重80㎏のオッサンと手を繋いだら、その瞬間に体重130㎏の物体にメガ進化し、いきなり倍以上の加速度で超高速落下が始まります。逆もまた真であり、手を離した瞬間に空中で急ブレーキが掛からなければなりません。当然、そんな事はあり得ませぬ。両者は手を繋ごうが離そうが、同じ速度で落下してゆきます。すなわち受けているのは均等な「力」ではなく「加速度」なのです。その加速度が体の質量に加わった瞬間、初めて力になります(F=ma。すなわち体重とは体が受けている力の大きさである。重量=力)
この辺りの誤解はちょっと驚くような専門家でもやってる事があるので、引力、重力は「引加速度」「相互加速度」といった日本語に今からでも変えた方がいいと思うんですよね。「引力」を力だと思っちゃう弊害は力学の基礎から問題だらけですし、その極北である、ただでさえワケの判らん一般相対性理論を理解する時、引力を「力」だと思っちゃうと未来永劫、正しく理解できないでしょうから。