漫画「ダンジョン飯」の最終二巻を拝読する。
最後にギリギリで着地させたなあ、という感じでしたが良い終わりだったと思います。
あと半歩ズレていたら完全に物語は破綻していたでしょう。ホントにギリギリのラインに見えました。
呑気なダンジョン探検記から方針転換、途中で世界の滅亡と悪魔を物語に取り込むに当たり、本来の主人公ライオス一行ではちょっと無理、と判断されて登場したのが第二の主人公、カブルーとその一行だったと思うんですが、最後まで中途半端に終わってしまいました。
本来は頭脳明晰、暗殺術にも長けた冷徹非情的なキャラだったはずなんですが、どうしても主人公に引きずられて、最後は人のいい熱血漢になってしまい、これで物語の操縦は絶望的になってしまった感があります。個人的には熱血漢キャラの方が好きですけどね。
その辺りの物語の歪みを、途中から全て背負う事になったのがマルシルで、気の毒なくらい不幸の連鎖の中で物語が終わっており、もう少し救いがあっても良かったんで無いか、と思わなくもなく。
そして何より絵が凄かったです。これだけの絵で物語をまとめ上げる才能を持つ人と同じ時代に生き、かつ同言語で翻訳の歪み無しで内容を理解できる幸運に感謝したいと思います。ついでにデジタル作画ゆえと思いますが、凄まじい描きこみの情報量で、イヅツミの「金が先だ」とか、12巻で酷い目にあった使い魔を使役するエルフの子が、最後まで一人ライオスに敵意を剝き出しにする描写とか、デジタル版で買って拡大しないと見えないじゃん、という情報量、作者の方はいい意味でパラノイアなんだろうなあ、と思ったり。
あとこれ本作のガイド本である「冒険者バイブル」は全員読んでるよね、という前提ですよね。いや、あれもいい本なのでぜひ読むべきだと思いますが。
最後まで良いものを読ませていただいたと思います。