■流体力学のその一
では、流体力学とは何ザマス?というと、
固体の運動ではなく、流れを伴う運動になる物体の力学です。
通常は気体、液体などがその対象になりますが、場合によっては固体も扱います。
例えば氷と水で考えてみましょう。
固体である氷はニュートン力学で扱えますが、液体である水はそれができません。
すなわち10sの氷のカタマリは投げれば力学の法則に従って飛んでゆくし、
押せば床を滑って行きますからニュートン力学で扱えます。
ところがこれが10sの水になると、投げる事もできず、床を滑らして向こうにやる事もできません。
水を動かそうとしたら、基本的に流れを伴う運動になるのです。
この流れを伴った運動をする物体を扱うのが流体力学です。
ただし固体でも場合によっては流体力学で扱う必要が出てきます。
例えば質量10sの鉄球を床で転がす、ならニュートン力学でほぼ厳密に扱えますが、
同じ10sの鉄球でも2000個のパチンコ玉の集団、となると話が変ります。
一個一個の運動はニュートン力学で扱えますが、全体の運動を考えるには無理で、
その運動は流れになりますから、流体力学の対象になって来ます。
(ある程度の数より上の集合の場合で、数十個くらいの数までなら流体力学の出番は無い)
ついでながら、先に見た氷も、単体で見た場合ならニュートン力学で扱えますが、
例外もありまして、氷河のように巨大な塊となって長距離を移動する場合、
これは流れの移動なので、流体力学の対象になってきます。
熱力学と同じく、ニュートンの死後、その力学を元に発展したのが流体力学で、
これも突き詰めると奥が深く、熱力学のエントロピーと並んで、
古典力学の極北ともいえる、ナビエ・ストークス式あたりまで行ってしまいます。
そんなの、私だって人に説明できるほど理解してるわけでは無いし、
自分で亜音速以上で飛ぶジェット機を設計します、とでもいうのでない限り、
まず必要ない知識ですから、今回はあくまで基本部分だけの話とします。
当サイトの記事を読むだけなら、それで十分でしょう。
と、いろいろ書いて来ましたが、とりあえず、
夕撃旅団内の記事を読む限りでは、液体、気体などによる
流れる運動が流体力学、と思っておいてもらえば問題はないです。
川の流れを力学的に解析するようなものだ、と思っておいてください。
なので当サイトの記事を理解するのに必要な
流体力学の知識は、せいぜい、以下の六つです。
よってこの記事ではこの六点についてのみ、説明して行きます。
■力はエネルギーと等価である、という流体力学の特殊性
■境界層と通常流れ
■完全流体
■ベルヌーイの定理
■層流と乱流
■レイノルズ数
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