■鴨とネギがマイクロバスに乗る話



さて、フェリーターミナルを出て、どうするか。

なにしろマカオにはまともな交通機関が存在しないんですよ。
ついでに、フェリー乗り場の前なのに、タクシーは一台も止まってない。
あれま、じゃあ歩くしかないか、と皆とおなじ方向に進むと、
なんだか左右にノボリやら看板やらがやけに林立してる。
なんでしょね、これ。



しばらく進むと、なんだかマイクロバスがたくさん止まってる。
ああ、ホテルの送迎バスか、と思うも、なんだか皆さん、熱心に呼び込みをやってる。

ここまで来てからホテルを決める人間がそういるとも思えないが…



その中にひときわ立派な看板が。
葡京でリスボア、と読みます。これ、ポルトガルの首都、リスボンのこと。
当然、ここからバスでポルトガルに行けるわけはなく、
これ、マカオでも最も有名な老舗ホテル&カジノです。
下の新葡京はニューリスボアで、新しくできた別館みたいなものらしい。

が、よく見るとどこにもホテル、とはしてない。
あれ、ひょっとしてと思って、横に居たビラ配りのお姉さんに
カジノ?と聞くと、そうだ、次のバスに乗れ、と広東語で応えられる。
当然、広東語なんて一言も知らないんですが、こういう場合って、
不思議と相手の言ってること、わかるんですよね。

マカオもラスベガス式に各ホテルが自分でカジノを持ってるので、
ホテルとカジノは同じ名前、というのが多いのです。
(独立系のカジノもなくはないが)
夕方までの時間つぶしに、ちょっとのぞいてみましょうか。



待つこと数分、バスが来る。
この間にも、さまざまなカジノに行くマイクロバスが、走り去ってゆく。

そうだよなあ、フェリーで来る連中を各地に分散する前に、ここでとっ捕まえて、
自分のカジノへ連行するほど賢いシステムはないよなあ、と思う。



というわけで、満員になったら出発。
フェリーはほぼ30分おきに来るので、まさにピストン輸送でしょう。

写真はリスボアカジノに連行されるカモの皆さんの後姿。
私くらいの心眼の持ち主になると、
全員の背中にネギが背負われてるのがよく見えます。
ええ、見えますとも。


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