■アメリカの底力

アメリカ軍を支え続けた輸送機、DC-3の軍用型C-47Dスカイトレイン。
グーニーバードという呼び名もあったとか。
この機体、空軍が最後に使っていたC-47で、1975年、これも自力で
この博物館まで飛んできたらしい。
コンディション的にはほぼフライアブル。
ここの展示で、生産数がギリギリ1万機に達してなかったと初めて知りました、C-47。
まあ、足りないのは200機程度らしいので、ほぼ1万機ですけども。
ちなみに上に見えてる背後霊のような機体は輸送グライダーのWACO CG-4A。
スカイトレインに曳航されて使われました。
ノルマンディー上陸戦の時、背後地域への強襲に使われたことで有名です。
その積載量は約3.5トンと結構たいしたものなんですが、事実上、ほぼ使い捨て。
これもお大臣様専用兵器ですね。

空挺部隊が使ったスクーター、クッシュマン(Cushman)53型。
4.6馬力エンジンで最大65km/h出たそうです。
グライダーでの運搬はもちろん、パラシュートでも投下可能だったとか。
基本的にはバラバラに広い範囲に展開してしまった部隊を
集めて回るために使った、との事ですが、牽引用荷台を繋げると、
12.7mm機関銃くらいは運ぶことが出来たとか。
後輪の上にはポシェットも見えます。
…ハンドルの右から伸びてるワイアは多分アクセルだとして、
これ、ブレーキはペダル式?つーか前輪にブレーキはないような…

で、なぜかここにゴロンと展示してあった
ドイツのチョー秘密兵器ことV-2ロケット(A-4ミサイル)。
スンゲー高高度までドカンと上昇して、そこから自由落下、
目的地の上空付近では人間にはどうしようもない速度となってそのまま突入します。
迎撃は事実上不可能ですが、なんせ弾頭の炸薬は1トンですから、
双発爆撃機1機分以下の破壊力しか持ちません。
その生産コストを考えると全く割に合わない兵器で、
基本的には心理戦用でしょう。
「これで戦争の行方を左右してやるぜ!」
とか
「戦争はV2ロケットなんだよアニキ!」
とか思っていた人はドイツ国内には一人も居なかったと思います。
(あ、総統が…?)
アメリカは工場一つ分のV2ミサイルを没収してるはずで、
相当数持ち帰ってるものの、この展示品はキレイすぎるような気が…。
が、このトレーラーも含め、全てオリジナルです、との事。
ロンドン(RAF博物館)のとか、スミソニアンのとかは
もっとボロボロなんですが、なにか事情があるのかしらん?
余談ながらV-2ミサイルは、その発射基地を徹底的に連合軍に叩かれました。
なんで、基本的にはこういったトレーラーでサーカスのごとく
各地を転々としてパカスカ打ち上げていた、と思ってたんですが、
なんでもフランスのカレーの近所には丘一つを完全にコンクリートで固めてしまった
ドイツ謹製のミサイル基地が丸ごと残っているそうな。
サンダーバード1号のように発射台に乗ったV1が
山腹からゴゴゴゴゴと横に出てきてドカンと打ち出していたらしい。
で、それが丸ごと今でも博物館として残ってるとか。
うーん、見てきた人の話だと結構すごいものらしい。
世の中には、まだまだいろんな博物館があるなあ…。

そこに仲良く並んでるV-1飛行爆弾…とみせかけたJB-2ルーンです。
アメリカが「オレもあこがれのV-1飛行爆弾を造ってみてえええ!」と、
生産したもので、戦後には確か潜水艦からの発射実験とかもしてたような。
あんまり知られてませんが、アメリカ軍は戦中に回収した(不発弾?)V-1をコピー、
1944年の10月には実験に成功、1945年1月ごろから量産に入ってます。
機体製造はリパブリック、エンジンのパルスジェットはフォードが担当しました。
肝心の誘導装置は誰が造ったか不明。
が、ヨーロッパでは使う間もなく終戦、じゃ、日本の本土攻略戦に先駆けて使おう、
と思ったらしいんですが、日本はすでに完全に焦土と化しており、
使うって、どこで?という状況に。
結局1000機近く造られたものの、実戦投入の記録はなし。
ついでに、陸軍は航空機からの運用を考えてたフシあり。
余談ながらバカボムの名で世界に知られる日本の特攻機、桜花を見たアメリカ軍は、
これをV-1飛行爆弾のコピーだと判断しています。
アメリカのドイツ恐怖症が生んだ幻想だろうなあ、と思ってたんですが、
よくよく考えてみれば、アメリカは自分で作れるくらいにV-1の構造に精通していたはず。
と、なるとむしろ逆に、日本人が知らないだけで、
桜花って構造的にV-1と非常に似た部分があるのか?
結局造りませんでしたが、日本にV-1の詳細な資料は入って来てましたから、
可能性はゼロではないなあ…
でも、調べはじめると多分ドツボにはまるので、まあ、今回はいいか(笑)。

こちらもあちこちで見かけるドイツの必殺誘導爆弾こと、
フゥゥゥゥリィィィィッツ エエェェェックス!
ことフリッツX。
で、何度も書きますが(笑)、その主な戦果は元仲間だった
イタリアの戦艦を一隻沈めただけ(涙)…
この手のドイツのチョー秘密兵器は、ものめずらしくて皆持って帰ったようで、
意外に現物が残ってるんですが、逆にMe-110とかJu-88とか、
当時、普通にありふれた兵器だったものの方が
今となっては貴重になってしまっています。わからんもんだ。
NEXT