■敗者は敵と、重力に支配される世界で

はい、来ました。今回の「突撃となりの博物館」の主要攻略目的の一つ、
世界中のみんなのうちの極めて特殊なごく一部の人と私大好き、
その名も高きベルP-39Q エアラコブラ。
これ、妙に凝った演出で、多分、アリューシャン列島あたりのジオラマ。
…普通に展示してくれないかなあ(笑)。
ちなみに、さりげなくアメリカ軍お得意の
「お手軽空港建設用鉄板マット」が展示品として下に敷いてあるんですが、
こちらも雪で埋もれて、よく見えない(涙)…。
日本機相手にはケチョンケチョンされ、
試しに買ってみたイギリスは機体テストの結果を見て絶望、
さすがは飛行機嫌いな社長(ホントらしい)ことラリーの会社の機体は一味ちがうぜ!
…と思ったら、どういうわけかソ連では大活躍。
しかも相手は東部戦線である以上、Fw190Gあたりを中心に、
Me109Gとか、ドイツのスター戦闘機ですから、
以後、「結局どういう機体?」と世界中の航空機ファンのアタマを悩ませる事になります。
まあ、個人的には「活躍した」と証言してるのはあのソ連さんの資料だ、
というアタリがミソだと思いますが、エアラコブラスキーの一人としては、
ぜひ、本当であって欲しい、とも切に思います。
ちなみにこれ、実機はホント、カッコイイですよ。
ハセガワの1/48、2機買って箱も開けてませんが、
近いうちにもう一機、買って置こう(笑)。

そのP-39の特徴、というかウリはミッドシップエンジンと37mm機関砲。
それって何?という疑問を一発で解消してくれる展示がこれ。
16:9画面広角カメラブラボーな画像でゲス。
キモは重量物であるエンジンを機体中心、重心位置に置くことで、
運動性能の向上を図っていることです。
発想そのものは、自動車のミッドシップエンジンと同じようなもの。
最初の写真で、エアラコブラの排気管が機体の真ん中アタリから
出てることからわかるように、この機体、機体中央付近にエンジン積んでます。
左側にエンジンがあり、そこから長いシャフトが伸びてプロペラにつながります。
で、そのプロペラの後ろに突き刺さってるのが37mm機関砲で、
その上についてるケースに入ってるのが37mm機関砲弾。
これ、さすがに巨大で、500mmペットボトルくらいの大きさ、あったような気がします。
で、機関砲の尻とエンジンのアタマの間の空間が、
実機ではコクピットとなっているスペースです。
長大なシャフト、まともな過給器の付いてないエンジン、
その上、機体そのものも当時としては異常に長い滑走距離がいるとか、
(イギリスが運用を諦めた理由の一つ。ダックスフォード以外に展開できなかった)
変な部分がいろいろあって、まあ、残念な機体となりました、P-39。
が、重量物のエンジンを機体中心に置く、というこの発想は完全に正しく、
これを元にベルはジェット機のP-59エアラコメットを開発、
そういや、ジェット機って、重量物のエンジンを胴体中心、
すなわち重心位置に簡単に持ってこれるじゃん!と世界中に教えます。
が、肝心のベルP-59はイマイチで(涙)、
死ぬほど嫌そうな顔して機体に乗り込むラリー(社長)の写真が残されてるくらいが
この機体にまつわる唯一の明るい話題(笑)。
まあ、正直失敗作で、ミッドシップというナイスアイディアはロッキードと
ノースアメリカンに持って行かれて終わり、となります。
イギリスとドイツが主翼下にジェットエンジンをぶら下げる、
という、いつの時代の設計だよ、という機体に走ったのに対し、
アメリカがいきなり「ジェット機の正解」というデザインのP-80に辿りついた
その発想のルーツはここでしょう。

そのP-39の発展形、ともいえるのが、このP-63Eキングコブラ。
エアラコブラが進化するとなぜ「キング」コブラになるのか解せませんが…。
アメリカなんだからプレジデントコブラとかじゃダメ?
P-63の設計は前輪式の脚、ミッドシップエンジンなどP-39とよく似ていますし、
実際、そのスタイルもそっくりですが、実はかなりの部分が完全新設計だったり。
後のP-51とツインムスタング、P-86とセイバードッグのような、
成功作のアウトラインを真似てるが、実は全くの新型機、という
アメリカの戦闘機ではおなじみのパターンのハシリとなった機体でもあります
この機体、アメリカでは最初から「いらない子」扱いで(涙)、大部分の機体が
ソ連と亡命フランス政府軍に貸し出され(そして踏み倒され)てしまいました。
その結果、第二次大戦期のアメリカ戦闘機と思えないくらい
残ってる写真が少なく、実はあまりよく特徴がわかりません。
個人的にはソ連も最後まで39と63の区別ついてなかったんでないの?
あの「P39伝説」はこっちの機体、P-63じゃないの、と思ってるんですが…。
確実に見分けるには、背面のエアインテイク(写真の機体では外されてる)の口が
四角い(P-63)か丸いか(P-39)かぐらいで、両者が並んで撮影でもされてない限り、
その識別は結構大変(風防の窓枠、排気管の数も違うが写真では見分けにくい)。
でも、コクピットの後ろが透明キャノピーでないじゃん、
という気がするかも知れませんが、本来は透明なんです。
この機体、ピンボール機と呼ばれる標的機で、特殊な改造を受けてます。
標的機というのは、爆撃機のガンナー、機銃手の訓練用に造られたジャンルで、
なんと、空中でホントにこの機体に向かって機銃を撃って訓練します。
マジですか!マジです!
弾丸はプラスチック製のものだったそうですが、
それでもこのP-63は通常よりはるかに強力、
というか600kg近い増加装甲をつけてます。
ピンボール機は名称も別で、この機体ベースはE型ですが、
RP-63というのが最終形式。
ちなみにピンボール、というのは最近では全くみなくなった、
アーケードゲームで(Windowsのゲームに入ってるけど)
これ、ボールがターゲットに当たると、派手にランプが点滅します。
このピンボール機も、作戦(?)時には機首に赤いランプを付けて出撃、
ガンナーの弾が機体に当たると、その振動で「大当たり!」
とばかりにランプが点滅したそうな。よって「ピンボール」。
…ちょっとやってみたいな、その訓練。
余談ながら、本国アメリカでも悲しいくらいに人気のない機体で、
ささきさんがエアショーで飛ぶのを見たとき、
それまで様々な機体を大喜びで撮影していた周りのカメラマンが、
誰一人、ピクリとも反応しなかったとか(涙)…
カッコイイ機体なのにい。
さらについでにこの機体、空軍博物館のミュージアムショップで
売られてる「写真入り機体ガイド」に載ってません(涙)。
無かった事にされてます(実は紫電改もなかったことにされてる…)。
カッコイイ機体なのにぃぃぃぃ。

本来は海軍機で日本海軍とエース坂井を痛い目にあわせまくった
ダグラス SBDドーントレスの空軍版、A-24。
例の「アメリカの爆撃機は全て多発エンジン」ルールを作った後で、
ドイツの急降下爆撃機(これのルーツはアメリカ陸軍なのだけど)の活躍を見た
上層部が「これはまいっちんぐ」とあわてて手配したもの。
が、したはいいけど、使い道に困り(涙)、なんだか弱ってるらしい
フィリピンにいる元お偉いさん兼今はただの中将ことマッカーサーに押し付けるんですが、
その到着前にマッカーサーはフィリピンからトンズらしてしまいます。
困った陸軍は親切を装って近所にいたオーストラリア陸軍にこれを押し付け、
その結果、ジャワ島付近の攻防に参戦してるらしいんですが、ほとんど役に立ちませんでした。
結局、アメリカ陸軍も残った機体は、本国で訓練機としてしまいます。
ドロナワだねえ…。
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