■そして世界は激動する

さあ第二次大戦期だ!
Warbirdsたちの白亜紀であり戦国時代であり、カエサル時代である!
当然、アメリカのトップバッターは…バッターは……誰だこれ(笑)?
ちなみに撮影にあきらかにジャマな手前のジーパンTシャツは
整備員の等身大フィギュアで、展示物の一部だったりします。
あまりにもピカピカに磨き上げられてしまっていて、
誰だか一瞬わかりませんでしたが、カーチスのP36Aホークさんですね。
こんにちわ。
この閣下はヨーロッパのメッサーシュミットMe109とほぼ同世代、
スピットファイアよりは一世代前、という機体。
本来は次に出てくるセバスキーP-35にコンペで負けており、
困ったカーチスが海外輸出にその活路を見出す…
という戦闘機だったんですが、どうも戦争がさけられそうにないぜ、
と思ったアメリカ陸軍が急遽、この機体の調達も開始します。
アメリカ、このパターン、多いな…。
で、そのアメリカの調達で割を食ったのが先に注文してた海外のお客さんで、
フランスなんてドイツが侵入して来てこんにちわ!
という1940年になっても全く数がそろっておらず、ひどい目に遇います。
負け犬フランスの発注分はどうもアメリカ陸軍が引き取ったようで、
最終的には、この時期の機体としてはかなり多い、
800機近くが生産されたそうな。
ついでに、真珠湾攻撃時にハワイにも配備されており、
少なくとも2機が迎撃に上がって、何機かの撃墜記録があるようです。
まあ、あの時は日本機も30機近く落とされてますからね。
で、実はこの塗装も、1941年12月7日、ハワイにいた機体の再現でして、
パイロットの視線の先には彼らがいます。
整備員がバイト帰りの専門学校生みたいなカッコなのも
日曜の早朝のフイ撃ちだったからなのでした。

二番バッターはセバスキーP35。
アメリカ陸軍初の単発、単葉、全金属ボディ&引き込み脚、
その上密閉型コクピットと、直前まで使ってたP-26に比べると、
有閑マダムのペットのミニチュアダックスが、
一晩でハングリー&ロンリーウルフに変身したくらいの進化をしています。
(ただし、正式採用された「初」で試作機としての完成はP36の方が先)
悲しいくらいに日本じゃ無名ですが、当時としては革新的な機体で、
イギリスの2歩は先を行っており、ドイツのMe109と比べても同世代機。
とはいっても、米軍で採用されたのはわずかに76機といわれ、
1935年夏、この博物館のあるライトフィールドで行われたコンペで打ち負かしたはずの
カーチスP-36の1/3程度に終わっています。
どっちが勝者だかわからない…って、ほんとこのパターン多いなアメリカ。
ちなみにこれの複座攻撃型2-PAは1938年に日本に輸出されており、
中国戦線送り込まれて後、少林寺で修行、
日本に帰ってきたらゼロ戦になっていた…というのはよく出来た都市伝説で、
実際はいろいろアッタマに来た海軍により、朝日新聞に追放となってます。
これをもってして「アメリカ機はヘッポコ」とか思い込んでしまったのなら、
ある意味、アメリカの恐るべき情報戦、なんですが(笑)。

ボロ、という日本語の語感ではかなりアレな愛称を持ってしまったため、
いろいろ損しているような気がする爆撃機、ダグラスB-18A。
しかもその実態も結構ボロ…だったりするのが微妙なところ。
が、これ例の青いムツゴロウことマーチンB10の後継機ですから、ここでもいきなり
爆発的なまでの進化が訪れてますね。
この機体の採用時のライバルが4発エンジンの空の惣菜、否、要塞B-17でした。
そのコンペが行われたのが、これまたここ、ライトフィールド。
でもって、忘れられがちなんですが、このコンペにはB-10の進化型、
マーチン146なる機体も参加してたのでした。
いや、私もどんな機体なのか、さっぱり知りませんが(涙)。
で、コンペの内容としてはB-17優勢勝ち、というところだったのですが、
なにせB-17は高価なオモチャすぎて大量配備に向かず、
民間機のダグラスDC-2の改造で、とってもお安かった
こちらのB-18が約360機ほど、B-17はわずかに13機のみ、発注される結果となります。
ちなみにマーチン146は無かったことに(笑)。
が、このB-18は戦争が始まってみれば使い物にならず、
結局、360機ほぼ全部、ただのムダとなり、
最終的にB-17が大量生産されてアメリカの戦争を支えます。
典型的な安物買いの銭失い。
しかし、アメリカの航空機コンペの結果ってほんと意味ないな。
で、アメリカ空軍博物館おなじみの「買った本人が言ってる値段」によれば、
ボロは1機$86,000、B-17が$276,000。
3倍かよ!…うーん、確かに私でもB-18買っちゃうかも(笑)。
ついでながら、戦闘機のP-36は$23,000ほど。
重爆撃機がいかに金持ちの道楽か、と言うことがわかります。
開戦前から貧乏で知られたナチスドイツが、
なぜ4発爆撃機を装備できなかったか、もうわかりましたね(笑)。

ちなみにこの辺りは、空軍博物館内でも最も密度が高い地域で、
B-18ボロ、その車輪の横にはゼロ戦、
さらにその横には予告編でも使った
秘密エリートパイロット育成用計器飛行訓練装置withハンサム チャーリー(仮名)
などが見えてます。
上からぶら下がってる機体に至っては、もう何がなんだか。
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