■アメリカ空軍の気の使い方

入り口を入ると最初はミュージアムショップ。
この博物館は1988年ごろから事実上、別モノというくらいの大改修を受け、
2004年の例の「大陸間弾道弾愛好家の間」の落成で、一応、完成形となったようです。
が、前のページのマップをよーく見ると、一番奥のはずの
ミサイルの間の奥に、うっすらとグレーの影が(笑)。
まだ拡張する気なのか…。
実際、ここに収容しきれてない機体は別の展示ハンガーになってるわけですし。
ついでに、スミソニアン以上のペースでコレクションを増やしてるようで、
10年前に一回来ていた、さささきさん(写真中央右)も、
「前は無かった」
という展示がそれなりにあったそうな。

中に進んで最初に見えてくるのはこれ。
モノリスの大群?と思ったら、イラクやアフガニスタンで活躍する空軍の写真が
ずらっとパネル展示されてるのでした。
皆様の税金は、かように有意義に使われております、
というアピール。
とりあえず、ここは順番にしたがって、
「ライト兄弟の時代より第二次大戦直前」
の展示から見てゆくことに。
新しい施設だけあって、全体的にキレイで、非常によく整理されてます。
シカゴの科学産業博物館も見習っていただきたい(笑)。

最初の展示棟、例のマップで赤いエリアに入るとこんな感じ。
ここから時代順に機体の展示、そしてそれにまつわるさまざまな
「小物」の展示が続きます。
「小物」にはエンジンも含まれ、これがまあ腰が抜けるような
シロモノの現物が適当に転がってるんですが、
ここら辺は後でまとめてやるか、航空機愛好機関の方で仕切りなおす予定。
でなきゃ終わらない(涙)。
で、この博物館、演出を兼ねてか、かなり照明を落としており、
撮影は結構厳しくて、本来なら明るいレンズを付けた一眼レフを持ち込むべき。
が、一眼レフの見てくれが嫌いな私は、F2.8のレンズ搭載16:9カメラで
この博物館に挑むのです。
ちなみに2台のLX-2をフルバッテリチャージ、計8ギガメモリ装填状態の
完全実戦仕様で持ち込んだ16:9比率画面デジカメ野郎は、
多分、この博物館設以来、私が初だったのではないか、と自負しております。
では、まずライト兄弟時代から。

入ってすぐにあるのがこのライト兄弟型複葉機。
写真ではわかり難いでしょうが、これ、イスに座って操縦、
しかも二人乗りです。
つまり、いわゆるライトフライヤーの人類初飛行なアレ、
ではなく、ミリタリーフライヤーの方ですね。
1909年にアメリカ陸軍が購入した、
ライト兄弟謹製の、恐らく世界初、人類史上初の軍用機。
ただし、オリジナルの現物は例によってスミソニアンが握ってまして、
これは1955年に造られたレプリカ。
ちなみに何がすごいって、初飛行から5年以上経っても、
未だにレールによる射出で、着陸はソリ…。
世の中には車輪と言う便利なものがある事に、
なぜ自転車屋の二人が気が付かなかったのか、
どうにも理解に苦しみます。
で、陸軍は飛行機なんて戦争では使えん、という方向に傾くのですが、
それは別段「先見の明がない」とか、
「航空機がまだまだ未発達だったから」という高度な理由ではなく、
多分、もっと単純な理由です(笑)。
このアメリカ空軍博物館のホームページは、
さまざな飛行機の「調達時のお値段」が明記されてることで
一部の人たちに人気があるのですが(笑)、
このミリタリーフライヤーも購入価格が出てます。
買った本人が言ってるんだから、多分、間違いない数字でして、
それが1909年で30,000ドル。
消費者物価指数で比べた場合、2008年現在と約22倍の差があるので、
今の価格でだいたい66万ドル、約7000万円というところ。
まあ、現代の感覚でなら、航空機としては普通、
軍用機としてはお安い位のお値段ですが、
そうは言ってもこれ、木の骨組みに布張っただけ(笑)。
こんな機械に7000万円払えって言われてもなあ…。
当時の陸軍には戦車なんてありませんから、
もっとも高価な兵器でもせいぜい野砲、
普通に買ってるのはせいぜいライフルで、
機関銃がようやく現実的な兵器となり始めたころ。
それらのお値段なんてたかが知れてますんで、
陸軍、とても飛行機なんて買う気にはならなかったでしょう。
当時の国家予算なんて、今のアメリカからみれば
子供の小遣いみたいなもんでしょうし。
ライト兄弟、ちょっとふっかけ過ぎ(笑)。
まあ、金に汚い、というとちょっと言葉が悪いかもしれませんが、
事実として、ライト兄弟にはこういった面があります。

でも、当時の最新メカだしー、という考えもあるでしょうが、
いや、やはりライト兄弟はやりすぎ、という証拠となるのがこの機体。
ライト兄弟のライバル、カーチスが2年後、1911年に陸軍に売り込んだ機体で、
その名はカーチス モデルD(ただしこの機体も1987年に完成したレプリカ)。
でもって気になるそのお値段はたったの5000ドルでした。
2年で価格が1/6になる商品ジャンルってあまりないのでは(笑)。
ミリタリー フライヤーで軍に航空機販売の可能性が出てきた!
苦節5年、ついに我らも大もうけ!とオービルとウィルバーが思ったのも束の間、
結局、ミリタリーフライヤーは本格採用されずに終わります。
ソリとレールの機体で30000ドルふんだくったら、そりゃあ客、逃げるよなあ。
で、この後、陸軍航空隊の機体開発はカーチスを軸に廻り始めるのです。
余談ながら、第二次世界大戦の最優秀戦闘機と言われる
P51のD型は現代価格にすると約61万5000ドル。
この骨組みと布でできたミリタリーフライヤーは、
ムスタングより高いんですね(笑)。
商売下手やなあ、ライトブラザース…。
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