■よくやるなあ、と思う
で、実はここにはアメリカ空軍が行った、不思議な実験の数々(笑)、
「とにかく気球で高く上れるところまで行ってあれこれやるプロジェクト」
の紹介があります。アメリカ空軍、多芸やね…。

これまたスターウォーズに出てきそうな怪しげなカプセル。
その正体はマンハイ (MANHIGH)
計画と言う、適当な訳語が
思いつかないプロジェクトの気球ゴンドラ。
1955年、大気圏ギリギリの範囲で、気球を飛ばすとどうなるの?
という研究の実験に使われたもの。
その中には「宇宙線の人体への影響を調べる」という項目もあったとか。
この時代の米軍は、人を人と思ってない面があるなあ…。
この展示ゴンドラは3機つくられた内の2号機で、
1957年6月の飛行で、実に高度30900mまで到達したとの事。
エベレストの約3倍の高さ。
が、なにせ気球なので、行って帰ってくるだけで32時間かかったとか。
(上空での調査時間も含む)
当時の世界記録でしたが、これは後で述べる別の計画で、
あっさり破られます。

内部。ほんとに座ってるだけ、といった装備で、
これで32時間では、エコノミー症候群にかからんかっただろうか(笑)。
実験時の写真も展示されてましたが、しんどそうでした…。

こちらも実験用の気球ゴンドラで1962年12月に行われた
スターギャザー(通常の日本語表記ではスターゲイザー(STARGAZER)?)計画のもの。
占星術師と訳すか、天文学者と訳すかで全く意味の異なる名詞ですが、
ここでは天文学者の意味。
高度25000mという大気圏の上の方まで行って、そこで星を見れば、
大気の影響を受けない、鮮明な像が得られるはず!
というハッブル望遠鏡の先駆けのような計画だったらしい。
で、この計画の意外な副産物として、その装備品から、
後の宇宙服や宇宙船用の機材のための重要なデータが得られたそうな。
つーか、どう見てもこれ、望遠鏡とか入ってそうに見えないんですが。
展示機からは外されてるのか。
あるいは極めて小型で外からでは見えないのか…。

脱出マジックショーに成功して喜ぶおっさんといった感じの
展示ですが、これはエクセルシオ計画の気球ゴンドラ。
EXCELSIORは、直訳するともっと上へ!という掛け声で、
これまたそのまんまなネーミング。
とにかく高高度からパラシュート降下しちゃおうぜ、
という「本来の目的」から、どんどんずれていったステキ計画でした(笑)。
ただし、当時の写真を見ると、世界記録達成時のものとは、
違うゴンドラのような気が…。
この計画は1950年代後半にスタートしたものでした。
高高度飛行機とか、宇宙船とかが、出てくるジャン、
それらがさあ、緊急事態になったらー、えーと、脱出可能?
と不安になってしまったアメリカ空軍は、
その問題の解決法をさぐるため
高度25000m以上からのパラシュート降下をやります。
いや、なんつーか、もう無茶苦茶(笑)。
しかも、直前の人形によるテストでは「極めて危険」
という結論に至っておりましたのよ…。
(ただし、そのデータを元にパラシュートを再設計)
最初の実験は1959年11月と12月、高度25000m程度で
行われたのですが、なぜか米空軍、満足せず。
もうええやん、よくやったやん…
なんだかもうどんどん「手段が目的化」した結果、
最終的に人類最高高度のパラシュート降下記録となるダイブが、
翌1960年8月、3度目の実験として行われます。
実にその高度、31300m。
実験時の写真を見るともう空の上、というよりほとんど宇宙からみた地球、
みたいな状態になってますから、ホント、無茶苦茶。
高所恐怖症の人には悪夢以外のなんでもない、
この最後の試験での降下時間は13分45秒、
途中、瞬間的に時速1000km/hに達した、とされてます。
これ、恐らく生身の人間による最高速度記録じゃないでしょうか。
一説に音速を超えた、という話もあり(ダイブした本人談)、
だとすると人間は生身で音速を超えても衝撃波に耐えれることに…。
ちなみに、この世界記録を達成したのが、キッティンジャー
(KITTINGER)で、
彼は先に書いたマンハイ計画にも参加していたのですが、
最高高度は彼以外のメンバーが記録してしまいます。
で、おそらく、このパラシュート降下テストで最高高度記録の更新も狙ったようで、
わざわざ先に書いた31300mまで上昇させてから、飛び降りました。
なので、彼は二つの人類最高高度記録を持っていることになります。
ちなみにキッティンジャー、後にベトナムにパイロットとして参戦、
撃墜されて11ヶ月の捕虜生活まで体験してるとか。
いやはや、世の中にはすごい人がいるもんだ…。
ちなみにこの展示、少し離れたところから見ると
「酔っ払ったキョンシー」のようにも見えます…。
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