■失敗してみることは悪くはないが、それって全部税金なんだよ…

ブラックバードことSR-71超音速高高度偵察機?と思ったら、なんか違う。
機首部がエイのように潰れておらず、妙に丸い。
なんだこれ、と案内板を見るとYF-12Aでした。
SR-71にはその前作となったA-12という超音速偵察機があります。
5年程度て引退してしまった上、外見も非常にSR-71に酷似してるため、
よく間違われ、私自身も、完全に見分ける自信がありません(涙)。
ニューヨークのイントレピッド、ロスの科学博物館の展示機など、
全部SR-71だと思ってたんですが、あれらはA-12ですね、どうも。
SR-71同様に、CIAがスポンサーとなって開発した機体で、
なんだかミサイルであっさり撃墜されてしまったU-2(実はまだ現役らしい…)の
後継機として、とにかく高速、絶対迎撃不可能をモットーに造られたのがA-12。
この機体ですてにマッハ3.35を実現していました。
が、生産総数はわずかにゴルゴ13機。
で、このYF-12はそのA-12を戦闘機にしてみまへんか?
とロッキードが空軍に売り込み、3機の試作機の受注に成功したもの。
ちなみに2機は事故で失われており、本機は唯一の生き残りです。
で、なんせチョッパヤで、なによりカッコもよかったので、
正式採用となるのですが、この時期のアメリカ軍で
毎度おなじみ(笑)社長国防長官ことマクナマラがここで登場、
「どこでこんな機体を使いますですか、君」
とあっさり拒否権発動、採用はキャンセルとなるのでした。
ちなみにA-12は最終的に派生型を含め18機製造されましたが、
その内8機が事故で失われてる、というトンでもない機体。
同時に生き残った機体は全て、博物館等で現存する、
という珍しい機体でもあったりします。
ほとんどが「あ、ブラックバードだ!」とか言われてる気もしますが(笑)
ちなみに、この写真で上に見えてるのは例の無人ターゲットドローンの
ファイアビーなんですが、解説はパスします(最低)。

アメリカのラムジェット超音速無人偵察機、D-21B。
ラムジェット、ラムジェット、安くて楽しいラムジェット〜
さて、超音速偵察機、A-12は全部で13機で生産中止となりますが、
派生型と呼ぶべき機体が、あと5機造られました。
そのウチ3機は上のYF-12A。
で、残りの2機がこのD-21B 無人偵察機発射母機となるM-21でした。
(アメリカ空軍博物館の表記ではM-12となっているが…)
なんでわざわざ無人偵察機の発射母機にA-12型の機体を?
というと、この機体、自力ではさほどの加速力がなかったようで、
母機によりカタパルトのごとく初速をつける必要があったらしい。
そこで、A-12に目をつけ、このドローン発射専用のM-21が造られるわけです。
(そもそもラムジェットは機能が作動する音速近くに達するまで、何らかの加速手段がいる)
で、なんせでかいので、これをなんとA-12(M-21)の背中、尾翼の間という
チャレンジャーな配置に置きます。下には抱えられないからね。
その結果、だれもが予想できたであろう接触、爆発事故が発生、
母機のM-21ごと実験機は失われます(パイロットも1名死亡)。
1960年代ごろまでの実験機って、こりゃ殺人だろう、というのを
アメリカ空軍は平気で飛ばしてることが結構あり、
あまりに非人道的で、やりきれませんね…。
初期のステルス機でも、殺人飛行をやってるらしいし、
ここら辺は、間違ってもほめられたもんじゃないです。
その後結局、Xプレーンズ同様、B-52の主翼下にぶら下げられて
そこから発射されることになるんですが、
B-52の速度では十分な加速を得られず、
今度はロケットブースターを抱えて発射されることに。
そこまで来たら諦めそうなもんですが、
結局、正式採用され、1969年11月から2年間、
実際の作戦で使用されます。
で、どうも未だにその活動は最高機密の指定が解除されてないとかで、
詳しいことは秘密、なんだとか。何やってたんだ…。
余談ながら、ロッキードの設計チーム、ケリー ジョンソン率いる
スカンク ワークスによってA-12(YF-12&M-21)もD-21も設計されてます。
で、ジョンソンの設計した主な機体を見ると、
P-38、P-80、U-2、A-12、SR-71、F-104と言った所ですが、
P-80、A-12、F-104はパイロット殺人機とでも言うべき機体ですから、
ジョンソン、天国には行けなかったろうなあ…。

あ、またF-22!と思ったら、これは試験機のYF-22の方でした。
とりあえず、人生3機目のラプターです(笑)。
1986年ごろかスタートしたコンペでYF-23と争い、勝利したのが1991年。
そこから、量産、配備まで10年以上かかってるのは気の長い話ですが、
その間に、大分リファインされており、ほとんど別モノではないですか?
ってなくらいに形状が変わってます。
よくわかるのは機首周り(F-22の方が丸みがある、というか太く、やや延長されてる?)、
別物になってると言っていい水平尾翼周りと主翼端から後部のラインなど。
ちなみに、最大の相違点は脚周りで、全くの別物と言っていい状態。
前脚は車輪が片持ち(YF-22)から、両側から支える形(F-22)に、
後脚は基本的に別構造で、F-22は短くされて、さらにその収容部の構造も異なります。
ついでに、外からでは全くわからない電子機器類なんかも、ほとんど別物でしょう。
これも近づき放題。F-22を前日に見たばかりですから、
けっこう印象違うなあ、と驚きました。

で、この博物館の守護神こと、ノースアメリカンの遺産、XB-70、バルキリー。
少しずつ、Xナンバー機、すなわちXプレーンズが出て来ましたよ。
マッハ3で飛行する高高度爆撃機として計画された実験機。
まあ、高高度でなければ、空気密度が濃すぎてマッハ3なんて出せません。
A-12、SR-71と並んで、貴重なマッハ3突破機です。
が、実際は爆撃機としてではなく、高速飛行の実験用機体として完成します。
非常に高価な機体だったため、2機しか造られず、
内1機は飛行事故で失われてます(宣伝デモフィルム用の撮影中だった)。
この航空博物館のウリともいえる、白くて美しい機体なんですが、どうにも展示が密集しており、
全体を眺めるのは、事実上、不可能でした(涙)。

機体ほぼ真下にて。下にいる単座ジェット機と、比べて見るとわかると思いますが、
ほんと、これもでかいよなあ…。
なんだか機体下面は、折り紙みたいな適当な造りに見えますが、
これは超音速飛行時に発生する衝撃波、
そいつに機体を乗っけて揚力稼いだれ、という設計のため。
波乗り天国飛行機こと、ウェーブライダーのハシリでもあります。
衝撃波は通常の空気より密度が高いですから、
航空機はそれに「乗っかる」ことで揚力を稼ぎます。
ヴァルキリーの場合、一定速度を超えると主翼の両端が下に折れ曲がり、
衝撃波を機体下部に抱え込むような飛行形態に移行します。
ちなみに、前輪はここにあるので、地上でみると首長竜というか鶴というか、
独特な印象のフォルムで、まあ、美しい機体ですね。
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