■戦争はアタマだよ、アニキ!すなわち頭突きだよアナーキー!

ネリス以来5年ぶりに見たRQ-1 プレデターさんですが、これは極初期、というか
事実上の試作機で10機前後しか造られてないはずのK型。
いわゆるUAV、無人機ですね。ちなみにUAVはunmanned
aerial
vehiclesの略。
無人機、といっても完全自立型ではなく、カメラを通じてパイロットがリモコン操縦してます。
1994年、空軍からの発注にゼネラル アトミック社(どういう名前だ…)が応じ、
わずか半年で試験飛行にこぎつけ、速攻で当時のボスニア紛争に送り込んで見たら
テレビの前の皆ビックリ、こりゃ使えるわ、と量産が決まった「システム」。
空軍さんに言わせると、プレデターというのはこの機体ではなく、
システム全体の名前だそうで、この機体はティーゲル戦車なら88mm砲とでも言うべきものらしい。
車体も砲塔もキャタピラも全部あわせて初めてタイガー戦車だ、という事。
具体的には4機の機体と地上コントロールシステム、衛星リンクシステム、
そしてその運用に必要な55名の人員をまとめてワンセットとし、それがPQ-1プレデターなんだとか。
ちなみにこの機体はPQ-1「K」なんですが、試作時のシステム部はPQ-1「A」という名。
もっとも、後の量産型は全部含めてPQ-1Lとなっているようです。
ちなみにL型とこのK型の違いは主に運用システムとエンジンなんですが、
機体の外見では、後部のエンジン周りの形状が異なります。
同じレシプロエンジンですが、量産型は排気タービンつきなのに対し、
どうもこれは付いてないみたいですね。
時速約140kmで、16時間の連続飛行が可能。
でもそんなに飛んでたら
電波の届かない場所かサービスエリアの範囲外に居ます、と言われませんか?
フフフ大丈夫、こんな事もあろうかと、衛星からのデータリンクに切り替えられるようにしておいた、
というのが、このプレデターのウリですね。
…
でも、それ、通信衛星を経由する、となると連中の高度は実に約36000km。往復で72000km。
光速とはいえ、約0.2秒かかり、デジタルデータの処理と実際の機器の反応速度などを考えると、
実際は0.5秒から1秒近いタイムラグが生じるはず(テレビの海外生中継会話における微妙な間と同じ)。
当然、プレデターの「あ、ボス、敵機ですよ、敵機ですぜ!」という情報が来るのに1秒、
それに対して「マジかよ、敵機かよ、ミサイル発射だよ、ポチっとな」
という指令が届くのに1秒。計2秒。
当然、その間に人間が判断して体を動かすまでの時間が加わります。
まあ、偵察機ならなんとかなるのかも知れないが、
積んでるミサイルを使うにはかなり厳しい条件でしょうね。
完全自立型でない限り、無人機で戦闘機は無理じゃないかなあ。

高高度無人偵察機、RQ4-Aグローバルホーク。
こっちはジェット機です。これはその試作3号機、AV-3。
グローバルホークは1998年に初飛行し、その後試作機が完成し始めたタイミングで
アメリカの「イラクの自由」作戦が発動されます。
結果、試作機の多くががいきなり実戦投入される、
という連邦のモビルスーツかお前は、という機体となったのでした。
で、この3号機も実戦参加経験機。
実は2008年に展示が始まったばかりの機体でして、
おそらく世界初の16:9カメラによる撮影でしょう(笑)。
偵察機といっても、近所の奥様の浮気現場をスクープ撮影!
とかいったレベルのものでなく、レーダーによる
地上探査機能をそなえ、カメラで見なくても
立体地図のごとく地形と、その上にあるものをスキャンする事ができます。
ある程度の雲なら透かして見ることも可能らしい。
まあ、可視光より強力とはいえ、電磁波には変わらないし、
このサイズにつめる電源からその実用性は想像できますが、
それでもまあ、ちょっとすごい機能です。
(ただし、わざわざ外部に漏れてくる情報は5割差っぴいて聞くべきだ、
というのはアメリカ空軍を見てると経験則として成立するのだが(笑)…)
さらにそれをリアルタイム配信可能で、
周辺を飛んでる機体はその情報を元に賢い誘導爆発物こと
スマートボムをポカスカ投下するそうな。
偵察、というよりは情報収集機、とでも言うべき機体でしょう。
まあネットワークのハブとなる機体です。
実機はかなりイルカっぽい(笑)。
バカでかくはないですが、プレデターの倍以上、大戦機のレシプロ機なみの大きさ。
この機体はunmanned
aerial
system、無人航空システム、
と呼ばれ、プレデターのUAVとは区別されてますが、
そのポイントはどうもある程度の自律飛行、人間のコントロールなしで
任務をこなせるか、という部分でしょうか。
実際、この展示機体、人間の操作によらない自律飛行で
カリフォルニアからオーストラリアまで23時間で飛んでるそうで、
多分、これ無人および自律飛行による世界記録でしょう。
ちなみに作戦行動で1200マイル、約2000km、24時間の継続飛行が可能だとか。

個人的に一番驚いたのが、これ。
ボーイングのバード オブ プレイ。
遊びの鳥でも祈りの鳥でもなく、BIRD OF
PREY、獰猛な鳥、すなわち猛禽類ですが、
これ、スタートレックのクリゴン星人の宇宙船の名前じゃん。
スペースシャトルの「エンタープライズ」といい、アメリカ人は…。
1992年から99年まで極秘裏に行われた技術実験に使われた機体。
空軍のプロジェクトだと思ってたんですが、最初から最後まで
ボーイングの社有機だったので、もしかしたらボーイング社の自社開発機かも。
空軍試作機としてのXナンバーは持ってないし、
主脚とかはビーチの機体から流用(ボーイングにはこのサイズの機体が無かったから?)
してたりと、その未来的な形状のわりには微妙に貧乏くさいし(笑)。
いわゆるレーダーに映らないというステルス効果だけでなく、
人間の肉眼でも捕らえにくい、というデザインと塗装を追及した実験機で、
上からみると折り紙で追った金魚みたいな形状をしてます。
2002年、ボーイングは突然「もう秘密にしててもしょうがないや」
とこの機体の存在を公表し、直後にこの博物館に寄贈したようです。
実はその1年前にジョイントストライクファイターのコンペの結果発表があり、
この機体の技術を盛り込んだX-32がX-35(F-35)に敗北してました。
…もう何もかもが虚しくなったのか、ボーイング?
NEXT