■ファントムには脚がある

あれは!伝説のアマゾン川の毒ワニ!
と誰もがだまされる見事な毒ワニ迷彩のミコヤン・グレビッチMig-17。
が、じつはこれ、エジプト空軍から「両国の友好の証」として
アメリカ空軍に贈られた機体だそうな。
世の中には色んな「友好の証」があるんですね。
ボクたちは友達だよ、とナイフを渡されたら、
私なら全力で走って逃げますが。
よって、本来はナイルの毒ワニであり、
おそらくソ連純正の機体ですが、
まあ、アメリカ空軍博物館では北ベトナム迷彩に。
本来、北ベトナムのはパンダミグでして、中国製のJ-5なはず。
まあ、どっちもどっちでしょうが。
見ての通りMig-15そっくりで、その発展型なんですが、
どこが違うの?と聞かれれば、そりゃ名前ですよ、と笑顔で答える、という感じ。
お前ら少しはスピットファイアを見習え、ってなくらいに安易な
形式名称の変更なような気がする機体ではあります。
具体的には胴体を延長(エンジン変更とアフターバーナー搭載による)、
主翼の形状の変更、などなど、けっこう変わってるらしいんですけども。
それなりに強力な機体で、そのアフターバーナーによる
「一発の速さ」は侮れないものだったとか。
ただし、この段階ではまだ超音速機ではなく、
Mig-19の段階でそれは実現します。
当然、私はMig-19も見分けがつきません(涙)。

ミコヤン・グレビッチ Mig21F。Fだから最初の量産型。
これまた有名な機体で、同時にどこにでもある機体。
さすがに見飽きた感もあり。
が、細長いお茶筒、といった印象しかなかったんですが、
結構、実機は美しい機体だったりします。
ただし、電子機器をコクピット後部に搭載して、
借金で首が回らなくなったヤクザみたいなデザインになる前、
この写真のような初期型の機体限定の話ですが。
このまんま全天候型になんかしなけりゃよかったのに。
ちなみに西側が付けたNATOコードネームの「フィッシュベッド」は
まさにウナギの寝床、ヨーロッパで使うウナギ取り用の筒状の道具のこと。
そのまんまやんけ。
この展示機はチェコスロバキア製の機体だから、
多分、世界で最高品質のMig-21(笑)。
が、これもしっかり北ベトナム塗装に。

リパブリック F-105サンダーチーフD。
サンダーチーフは直訳すると雷酋長ですが、
たしか実在したインディアンのニックネームだったはず。
ノースアメリカンのF-100がF-86の後継機だったように、
この機体はリパブリックのF-84の後継機となってます。
サンダーシリーズの一員で、そしてこれまた、
リパブリック最後の戦闘機となったのでした。
ちなみに、現在にいたるまで、世界最大の単発ジェット戦闘機だとか。
で、この機体はもう一つすごい数字を残してます。
すなわち、その総生産数833機に対して、喪失機数実に383機。
生産総数の46%が失われている、という壮絶な機体なんですね。
これ、第二次大戦でドイツ相手に凄惨な戦いを繰り広げた、
B-17の損失率なみでして、ベトナムがいかに過酷な戦場だったか、
というのがよくわかる数字です。
アメリカ、決して一方的に優勢だったわけでもないようです。
展示機は最大生産型のD型で、ベトナムでの実戦参加機。
Mig2機の撃墜記録ももってるとか。
機首部分の黒っぽいところはバルカン砲搭載部が
カットされて中が見えるようになっているもの。
で、F-84の後継機ですから、これも当然核武装が可能で、
すなわち、相当量の爆弾が積めました。
よって、主要任務は戦闘機というより爆撃機に近いもの。
機首下に描かれた女性の絵は、第二次世界大戦で
25回のミッションを無事にこなし、アメリカ本国に凱旋して有名になった
B-17メンフィスベルのと同じもので、
この機体のニックネームもメンフィスベルII。
完全に爆撃機、としてみなされます。
ちゃんと機体の左右で女性の服の色が変わってました。
こちら側は赤、反対側は青で、これはオリジナルB-17と同じ。
が、別段、パイロットがメンフィスベルのクルーの縁故者、
とかいうわけではないそうな。

デ ハビラント C-7Aカリブー。
この機体にカリブー(トナカイの一種)と名づけたのは、
まあ歴史に残る名ネーミングであろう、というくらい、
ホントにカリブーな面構え。
軍用輸送機で、胴体にこれだけ窓のある機体も珍しいかも。
STOL、短距離離着陸能力が売りの輸送機で、
もともとは陸軍が使っていた機体を空軍が改めて採用したもの。
ちなみにこのデ ハビラントはカナダにある方の会社です。
で、この機体もベトナムで実戦参加&自力博物館飛来組の一人。
多いなー、この条件を満たす機体。
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