■お前のガソリンは何色カー?
B-52の下、という微妙なポジションにあってウッカリ見逃していましたが、
ここのヘンテコ3羽カラスこそ、実はここの「朝鮮戦争期でもベトナム期でもない」
展示品の最強のメインイベンターなのでした。
ちなみにこれらは陸軍の依頼で空軍が開発に参加したメカでもあります。

アメリカン ヘリコプター社謹製 XH-26 ジェエエエットォォォジィィィィィプことジェット ジープ。
アメリカ陸軍の夢こと、ヘリコプターとジープの中間を狙った機体その1。
全世界からどこがジェットでジェットでどこがジープやねん!
というツッコミを受けるために生まれてきた機体である、と言えますが、
実はジェットはジェットだったりします。
1951年、アメリカ陸軍が
「小型で軽量で、手軽に前線で使える偵察&連絡用飛行物体が欲しいでガンス」
と言って来たので、空軍とフェアチャイルド社のヘリコプター部門である
アメリカン ヘリコプターが開発に乗り出したもの。
ちなみに日本じゃ昭和26年。
日本史に燦然と輝く昭和29年、個人的にここから戦後だと思っている
「七人の侍」と「ゴジラ」が公開された年よりさらに3年も前に、
アメリカでは、このデザインが空飛んでました。
最大の特徴は機体にエンジンがないこと。
なんじゃそりゃって感じですが、ご覧のように
ローターブレードの先端にパルスジェットを付け、
カリオストロ公国の伯爵専用機のごとく、この推力でローターブレードをブン回します。
パルスジェットは、V1飛行爆弾にも使われた非常に原始的な
推進装置で、内部にギアもシャフトも何もいらない、というシロモノ。
一度一定の速度に達してしまえば
あとは燃料の続く限り動き続けます。
最初の起動時だけはプロペラを回す必要がありますが、
圧縮空気を使ってスターターとしたようです。
で、この機体、実は結構よくできていて、エンジンレスでローターを回すので、
エンジン回転によるトルクが発生せず、このためアンチトルク用の
尻尾のプロペラことテイルローターが不要となりました。
一応、小さな一枚羽根のローターがありますが、これは方向制御用、
曲がったりするためだけに使われてます。
その上、この機体はローターブレードだけでなく、
尾部、脚部なども全部簡単に取り外せ、
その状態でなら、なんとジープに積んで持ち運びができました。
燃料もジープと同じガソリンでよく、前線での補給も心配なし。
さらに加えて、エンジンレスですから、暖気もいらず、整備も簡単。
組み立て後、パイロットがエイヤっと乗り込んで、
わずか30秒で飛び立てた、というのは未だにそんな飛行物体は
存在しないんじゃないか、ってな位の高性能です。
が、これ、あっさり不採用に。
理由は「やかましすぎるから」(笑)。
どうもこのパルスジェット、相当の爆音を発生したようで、
こんなのが必要になるような任務にふさわしくないほどの音量で、
「世界に私はここに居ると宣伝して歩くような状態」だったらしい。
…って、そんなの初飛行可能なほどプロジェクトが進行してしまう前に気づけよ…

ベル XV-3。
世界で初めて飛行したティルトローター機で陸軍と空軍の協同開発だったらしい。
で、これはA.G.(After
Godzilla)1年、1955年の初飛行。
日本じゃ「うーん、ヘリコプター?まだ食べたことないなあ」とか言ってる時代に、
アメリカの空では、こんなもんがもう飛んでいたのでした。、
しかしこれ、60年近く前のデザインじゃないよなあ、と思います。
主翼の量端にあるプロペラ(ローターブレード)が上に向いてますが、
この状態で回転翼の揚力を使ってヘリコプターのように浮き上がり、
上空で徐々にこれを前方に倒して行き、最後は飛行機のように
プロペラが前向きになって高速で飛行する、というもの。
ローターブレードの付け根が前に倒れるように出来てるの、わかると思います。
いいとこ取りのようですが、性能的には結局ヘリとも飛行機とも言えない、
中途半端なものとなりますし、浮上してからローターを前に倒す間、
主翼に揚力が生じる速度に達するまで、かなり危険な状態となることがわかり、
結局、本格的な開発には至りませんでした。
この機体も1955年8月には初飛行に成功しながら、
どうも水平飛行への移行に成功したのはようやく1958年12月になってからで、
垂直離陸から水平飛行への移行がいかに難しいかがわかります。
2機だけ造られ、1機は実験中に大破、生き残ったこの機体は
どこか基地に展示されていたようですが、後にベルが引き取ってレストア、
2007年からこの博物館に展示されてるようです。
…紫電改といい、F22といい、実はかなりいいタイミングで訪問した気がして来ましたよ。
現在アメリカ空軍が使っている
CV-22オズプレイの先祖、といえば先祖。
ちなみにオズプレイもこの機体も「ティルトローター」ですが、
主翼ごと傾ける「ティルトウィング」というタイプもあります。
これは翌日現物を見て来ましたので、また後ほど。

さあ、今回のメインイベント!
ラブリー カエル顔円盤ことVZ-9AV(長い形式名称だ…)アブロ カー1号機の登場です!
ジャーンジャジャジャンジャンジャンジャカジャン!
(新世界より 第四楽章のアタマ30秒を脳内リピートのこと)
イヤッハー!
このステキオバカさんことアブロ カーの登場をもりあげるつもりだったんだが、
ドヴォルザークで突然思いついたから、当然、突然脱線するよ!
ドヴォルザークは鉄道マニアだったと言われるが、
その滞米期間は例の999がニューヨーク周辺で
ブイブイ言わせてた時期と完全に重なるジャン!と今気が付いた。
それどころか、あの「通天閣より」否、「新世界より」こと交響曲9番は1893年製…って、
あーた、それ機関車999が人類最速記録を達成した年じゃん!
しかもドボちゃん、たしかこの曲1年足らずで作ってるはず!
わかったぞキバヤシ、木に林で、つまり森!
すなわち交響曲9番の9は999の9だと言ったら言い過ぎだろうか!どうだ参ったか!
言い過ぎだし、参りません。
ニャンですとー!
つーか、落ち着け、オレ…
……
はい、落ち着きました。
ちなみに一応フォローしておくとVZ-9AVのVZはvertical
flight、垂直離着陸、
9はただの計画番号、AVはアブロをそれぞれ意味します。
そもそもはフロストさんという技術者が、コアンダ効果(物体の表面にそって流体が流れる現象)
をうまく使えばスンゲー飛行機が造れるよ、それには円形がベストだよ!
と言い出したのが、アブロ カナダ社における、この機体の開発の始まりらしい。
で、カナダ政府の援助のもと、その開発はスタートするんですが、
あっという間に予算をオーバー、資金が尽きたアブロ カナダ社が
アメリカ国防省に売り込みにかかり、まんまと成功したのが1955年ごろ。
国防省の皆さん、何を間違ってしまったのやら…。
その未来的なスタイルを見て、
「これからはコレダー!」と思ってしまったのかなあ…。

横から見た状態。円盤のフチとかにギミック満載なのが見てとれます。
これは一号機で主に空軍やNASAのテストに使われました。
そんなに詳しく調べたわけじゃないんですが、どうも結構情報が錯綜している機体で、
おそらく確実な事実は以下の通り。
●これはジェット機で、この円形ボディの下に、
三角形に置かれたジェットエンジン3基が入ってる。
●アブロ カナダは本気でこれを超音速飛行させる気だった…。
ちなみに離陸は機体中央にあるファンに「ジェットエンジンで風を送り」
それを回転させて浮遊する。
その後、ジェットンジンの噴流の流れを変え、後ろ向きに噴出するようにし、
そこからの高速飛行では、機体自身の生み出す揚力で飛行する。
が、どう見てもこの機体、浮遊までで、その先のギミック、ついてないんですが…。
●造られたのは2機のみ。これが1号機で空軍型、2号機は陸軍型。
●アブロ カナダ社で行われた、1号機による初飛行(というか浮遊)
でいきなりダメだ、と判断されたくらいのシロモノだった。
しかもこれ、実機といっていいこの機体が完成してから風洞実験を行ってる…。
で、その風洞実験の結果は
「こんなんで飛べるわけないやんけ」(涙)
●が、あくまでホバークラフト的な使い道を考えていた陸軍は
「別に音速で飛べなくてもいいよ」
とやさしくアブロ カナダに救いの手を差し伸べるが、
そのレベルですら現実的ではなく、あっという間に陸軍も離れていく。
つーか、その目的にジェットエンジンはいらんだろ、陸軍…。
で、この後つくられた二号機は3フィート(約90cm)だけ浮き、
時速35マイル(56km/h)までは出たらしいのですが、
まあ、誰もが「うーん、微妙」と思うようなレベルですから、当然、開発中止に。
ちなみに二号機もヴァージニア州の陸軍輸送博物館(U.S.
Army Transportation Museum
)
に現存してますが、写真で見る限り、かなりボロボロ。
怒ったんだろうなあ、アメリカ陸軍(笑)。
とりあえず、後の「空飛ぶ円盤」というイメージに結構影響があったような気がしますが、
それ以上でも、それ以下でもなかったような気がします…。
ステキだけどね。
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