■ミグが来た

朝鮮戦争でその存在が明らかになり、アメリカを本気でビビらせたミコヤングレビッチMig15bis。
bisはロシア語の「改」とか「II」とかいった意味だったはずで、改良型ですね。
写真で手前に写っているのがこの機体のエンジンで、クリモフVK-1。
この後ろに長い筒が付いてたり、Mig15の胴体自体も筒状なので、
ごく普通の軸流ジェットかと一瞬思ってしまいますが(私だけ?)
その正体は典型的な円盤型の遠心式ターボジェットエンジンで、
しかもこれ、イギリスのロールス・ロイス謹製ニーンのコピーです。
確か政権復帰したチャーチルがウレシさのあまり、
ついうっかりソ連にプレゼントしたら、そらもうあっという間に
大量コピーされた、といったシロモノだったはず(笑)。
ヘッポコミコヤンというイメージしかなかった
(フィンランドパイロットが強敵として上げるのは常にヤクとラグ…)
ミコヤングレビッチ設計局が戦後突然、なぜこれほどの機体を造ってきたかというと、
実際は機体設計もエンジンもミコヤン関係無しで完成してたようなもんだから(笑)。
そのまま、どこが設計を担当しても傑作機になっていたでしょう。
ここら辺の事情はもう少し調べてから航空機愛好機関で書きます。
とりあえずどういうこと?というとまあ、ソ連らしい理由があるんですね。
ミコヤン・グレビッチの名の前半、アルチョム・ミコヤンが設計局の責任者なんですが、
彼の兄貴アナスタスはスターリンとマブダチ、しかもスターリンが死亡した後は、
後がまのフルシチョフともマブダチという、にわかには信じがたいほどの
世渡り上手のソビエト共産党幹部だったのでした。
もうわかりましたね(笑)。
この機体を産んだのは政治力です。技術力ではありません。
もっともアナスタス(訪日経験アリ)はフルシチョフと一緒に失脚してます。
これが1965年。
ソ連の戦闘機で次々と恐るべき進化が起きていたのが
Mig15から21までで、そしてMig23をもって、その後は停滞期に入ります。
で、Mig23の初飛行が1967年。ついでにいろいろとアレなMig25は1963年(こっちが先)。
それ以後のソ連戦闘機の開発は一時見事に停滞し、
その後、スホーイとミグが対等な扱いになって行くのはご存知の通りです。
1965年のアナスタスの失脚の影響が見え隠れしますね、ここら辺。
ちなみにこの機体、朝鮮戦争中に、北朝鮮軍の兵士が亡命のため乗ってきたもの。
ただし、純粋に政治的な亡命か、というと微妙でして、
どうも当時の米軍は、Mig15を持ってきたら10万ドル払うよ、
と共産軍相手に宣伝していたようで、その結果がこれ(笑)。
最新のBisが手に入ったことで国連軍の皮をかぶった
アメリカ軍はまさに狂喜したようですが、
乗ってきたパイロットはどうなったんでしょ。
そのまま韓国にとどまったなら、一生遊べる金額でしょうが、
うっかりアメリカとかに渡ったら、10年も持たないぞ…。
ついでながら、西側の博物館で見られるMig-15は、
大抵、中国製の「パチモン」なんですが、これはホンマモンのソ連製です。

そのMig15の光学照準器。
結構小型で、もしかしたら1950年代でもジャイロ照準ではなかったような気が。

ロッキード F-94 スターファイア。
F-80から傑作練習機のT-33が生まれたのは有名ですが、
その複座というメリットを生かして戦闘機に逆もどりしたのがこの機体。
複座がなんでメリットに、というと後部座席にレーダー手を乗せれるから。
この機体の妙に長い鼻っ面はレーダーが入ってるからなんですね。
レーダーを使ったアメリカ初の全天候型迎撃機で、
本来はアメリカ本土防衛用につくられたんですが、
朝鮮戦争時には日本側にある航空基地の防衛用に持ち込まれています。
ついでにレーダーあるなら、夜戦もやれ、
と夜間爆撃の護衛機としても使われたようです。
この機体も1957年に、この博物館まで自力で飛んできました。
多いなあ、この「自分で飛んできた機体」。

またセイバー。
ただし、これは極初期型のF-86Aで、水平尾翼などが後の機体とは結構異なるもの。
下の鉄板は例のアメリカ軍お得意の「クイック滑走路建設キット」ですが、
太平洋戦線時代のものからさらに進化してるらしい。
もっとも、私には違いがよくわからず(涙)。
まあ、大戦期のあれはB-29基地用の「何しろ重い機体が500機近くウロウロする」
対策のために使われたのを別にすれば、基本的に雨でヌカルまない、
そして一度整地して上からかぶせてしまえば後はメンテナンスフリー、という程度が目的。
が、ジェット時代はそんなノンキなことは言ってられず、
地上の異物を吸い込まないようにするのはもちろん、
時速200km以上とかで着陸に突っ込んでくる機体を受け止める必要があります。
離陸時にも当然、重くて巨大な機体がそのくらいまで加速するわけで、
地面が土や草原ではあっという間に事故で部隊は壊滅しますね。
ちなみにこの塗装、朝鮮戦争当時、エースパイロットを多く抱え、
最新のF-86Aで武装していたエリート軍団、第4戦闘機集団のもの。
当初、相手はソ連だしー、とか空軍は思っていて、
連中にはお呼びがかからず、田舎の方でくすぶっていたんですが、
Mig-15に衝撃を受けた上層部があわてて朝鮮半島へと送り込みます。
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