■戦争と黒ネズミ
って、あれ?今回はここまで?
朝鮮戦争もベトナムも全然出てこなかったじゃん!
「ペロ君、記念すべきゴジラ第一作目、何がすばらしいって、
肝心のゴジラが登場するのは物語も中盤以降、
それでまでは観客の想像力を刺激し続ける演出が続くんだ」
それって単に特撮は費用がかさむからだろ。
「夢もロマンもないな。今回の記事もそんな“ゴジラ一作目技法”を採用したんだよ」
へー、いろいろ考えてはいるんだ。
「もちろん、ウソだけど」
……
「……」
…で、何、今回のタイトル。
戦場での疫病の話?
「いや、端的に言ってディズニー閣下のアレだ」
なあ、ひねり過ぎてわかり難いタイトル、さすがにもう卒業しなよ。
「いいアドバイスだ。だが、アドバイスで世界は救えるだろうか」
意味わかんねえよ。はよ今回のネタに行こうぜ。

航空機の博物館とは思えない展示だね。
「ここはアメリカ空軍博物館だからね。
その空軍の先祖、第二次大戦期のアメリカ陸軍航空隊の名物と言えば?」
…マッカッサーのトラパンツ?
「適当に答えるにも、限度ってものがあるんだよ、ペロ君。
正解は、機体に書かれたイラスト。爆撃機なんかではノーズアートとか呼ぶヤツだ」
ああ、この間出てたP-40のシャークマウスとか。
「そういうのもあるが、今回の話題は下の写真みたいのさ。
英語ではインシグニア アート、紋章図とでも訳すのか、そんな言い方をするタイプの絵だね」

ああ、よく見るね。機体のマスコットとして描かれたの。
「うん。で、この手の絵の写真を探すと、ある傾向があることに気づく」
どんな?
「いろんな絵があるんだが、主流といえるのはこの写真のような
ピンナップガールともう一つは漫画のキャラクターなんだ」
両極端だねえ。
「だよね。グビア水着ギャル派とサザエさん派がいるようなもんだ」
いや、その例えはどうかな…
「これは米軍、しかも陸軍航空部隊の大きな特徴で、他ではあまり見ない文化だ。
十字架とか剣とかをモチーフとしたマークはよくあるけどね」
だから?
「ようやく最初の写真に戻る。この文化のルーツは多分、ウォルト ディズニーなんだ。
あの写真は大戦期のディズニースタジオを再現したものなのさ」
え、そうなの?
「ディズニーは第一次大戦の時、16歳だったんで志願兵として採用されなかったんだが、
あきらめきれず赤十字のメンバーとしてもぐりこみ、フランスで戦争に関わっていたんだ。
このとき、彼は自分のチームのマスコットキャラをデザインして
救急車や用具類にそれを描きまくったんだとか」
それって、いい迷惑なんじゃ…
「いや、それがえらく好評で、ディズニーはここで
マスコットキャラクターの力、その有効性を確認した、と言っているらしい」
へー。でも、ディズニーってアニメーターじゃないよね。
「変な事を知ってるなあ。そうだけど、彼は絵を描けるよ。
うまくなかったといわれてるし、黒ネズミは何度描いても似なかったらしいが…。
まあ、ともかく、その経験から第二次大戦期に“部隊マスコット”という
テーマを陸軍に提案、有名なフライングタイガースのマスコットをはじめ、
ウォルトディズニープロダクションとして、
実に1200種類ものイラスト原画を描いているらしい」
そりゃ大もうけだ。
「いや、どうもこれが無償作業だったらしいんだよ。正直、意外だけど」
へー。
「まあ、そんなわけで機体にデッカク何か絵を描く、という文化が生まれ、
しかもこれ、陸軍当局の公認だったから、
だったらオレはピンナップギャルを…という一派も生まれたんだろうね。」
へー、なんか今回はまともな話だったね。
「いつだって私はまともな話しかしないよ。
さて、今回はここまでだ。ペロ君も寝る前にこの連載がゴールに
たどり着けますように、とちゃんとお祈りするんだよ」
…追い詰められてるなあ。
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