■自分のやりたいようにやる船

前回紹介し忘れたアメリカ海軍の爆雷。
潜水艦を沈めたれ、という兵器が爆雷で、
これは第二次大戦後期にデビューした200ポンド(90.7kg)型爆雷。
こいつを船の上からパカスカ海中に放り込んで爆発させます。
対潜水艦兵器の場合、別に直撃させる必要はないのがその特徴。
例えば、打ち上げ花火を近くで見てると、
ドーンと「腹に来る」衝撃波(の名残)を感じることがあります。
空気中の爆発で生じた、まあ「空気の壁」がぶつかって来たようなもんです。
同じように、水中でも爆発が起きれば衝撃波が発生します。
ただし、水は空気に比べてはるかに密度が高いので、
水中爆発による衝撃波の破壊力は空気中のそれに比べて遥かに強力です。
実際には水温による音速の違いとか、気泡の影響とか、
えらく難しい話になるので、あくまで「大筋の話」ですが。
例えば、空気を入れた巨大ビーチボールを思い切りぶつけられても
「コイツう!」「テへ!ウフフフ」ですみますが、
水をギッチギッチにつめた巨大ビーチボールを思い切りぶつけられたら、
一言も発する間もなく即座に病院送りの可能性もあるわけです。
変な例えでわかりにくいかもしれませんが(笑)、まあとりあえず、
至近距離で爆雷が1発でも爆発すれば、その爆圧で潜水艦の外殻は圧壊します。
(すぐに沈む、って意味ではなく、穴が開いて水漏れがするよ、ということで)
個人的に、爆雷、というとドラム缶みたいな適当な入れもんに入った大雑把な兵器、
という印象だったのですが、アメリカ海軍はごらんのように、
周囲に少し角度を付けたフィンを装着、水中で回転するようにして
直進安定性を確保、狙った位置のママ沈んでいく工夫をしています。
陰湿だなあ(笑)。

というわけで、次は「数は正義だ」の輸送船、リバティーシップの生き残り、
S.S. エレミア オブライエン(S.S.
ermiah
O'Brien)。
どうも世界中で2隻しか現存してない内の貴重な1隻らしい。
トランペッターがキット化してますな、この船。
しかしまあ、でかいのよ、これが。
第二次大戦時、戦時急造貨物船としてアメリカで大量生産されたのが、このリバティーシップ(Liberty
ship)。
ルーズベルト大統領が最初の進水式で行ったスピーチで、
「我に自由を、さもなくば死を(Give me liberty or give
me
death)」
というパトリック・ヘンリーの言葉を引用、そこからその名が取られたらしい。
同じデザイン、同じ規格に統一することで、悪夢のように(笑)大量建造された。
戦争終結後は民間に払い下げられ、海運事業の戦後復興にも大いに貢献している。
また、ヘンリー
J.
カイザーの率いる企業集団(コングロマリット)が
その主要製造を請け負ったので、カイザーシップとも呼ばれる。
ちょっとカッコいいな、カイザーシップ、レツゴーカイザーシップ。
1940年、Uボートに輸送船を沈められまくったイギリスが、ドラえもんに「安くて大きな船製造機〜」を
出してもらおうと思ったのだが、インド北部で展開したドラえもんの捕獲作戦に失敗。
仕方なしにアメリカに頼んだのがきっかけとなり、
戦争全体をひっくり返すことになる、恐るべき輸送力が誕生する。
アメリカの造船関係者は、第一次大戦時、フィラデルフィアにあったホグアイランド造船所が開発した、
ブロックごとに分割して造って最後に合体させる、という工法をさらに進化させ、
船体の接合をリベット(鋲)ではなく溶接で行う、といった新技術を採用、
全米18箇所の造船所でやたらめったら生産しまくってゆく。
ついでに大量生産のために規格統一を計ったのだが、
結果的に一つ搭載のパターンを決めてしまえば、
あとは全部一緒、という、船積みに関しても非常に使い勝手のいい船となった。
リバティーシップは、最終的に2750隻も建造されたらしい。
その製造期間は1941年9月から45年9月まで、ちょうど4年間なので、年間約687.5隻、
実に1日2隻弱(1.88)のペースで1万4000トンクラスの貨物船が完成していたことになる。
なんじゃそりゃ(笑)。
しかも当初は240日かかってた建造が、やがて平均42日で1隻という
ほとんど夏休みの自由工作のような建造期間になってゆく。
1943年には一日3隻のペースで完成していたとか。
大型航空機や戦車なみの生産性だぞ…。
ちなみに最短記録はロバート.
E.
ペリー号の4日と15時間30分だとか。
いやはや、月曜朝8時にキールをドッグに置いて、週末の金曜午後には完成していたことになる。
うーん、まさに「週刊リバティーシップ」ですなあ…。
(ただしこれらは「船体の進水までの時間」。各種艤装類の取り付けはまた別)
余談ながら、リバティーシップの製造にかり出された工員の1/3は女性だったそうで、
後の女性の社会進出に、大きな意味を持つことになったりもしてます。
乗員40名前後、全長135m、2500HP蒸気ピストンエンジン、
シングルスクリュー、最高速11ノット(約20mk/h)
排水量14245トン、総トン数7165.5トンで貨物搭載量9140トン、といったスペックを持つ。
また、写真でわかるように波動砲は未装備で、
ミノフスキー粒子も散布できない。
ほとんどのリバティーシップが同じ設計なので、
これがリバティーシップの基本性能、と考えていいはず。
なお、乗員数はあくまで船を運用する民間人の人数で、
これ以外にも、護衛艦隊との連絡や搭載の5インチ砲などの武装を扱う海軍兵、
さらに積み荷によっては陸軍の軍人が加わった。
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