■アメリカ合衆国の基礎知識



アーリントン墓地からワシントンDC中心部を見る


さて、今回は8年ぶりのワシントンDC、さらにはアメリカ訪問も5年ぶり、
という事で、基本中の基本から確認しておきましょう。

とりあえず、記事本文中ではここで説明する基礎知識を皆さん理解済み、として
細かい説明をバンバン省いてゆきますので、
面倒がらず、一通りは読んでおいてくださいませ。

基本中の基本から言いますと、まずアメリカという国の呼び名は
そもそも日本語専用用語です(笑)。
英語では通常、United states(合衆国)、 USA(アメリカ合衆国の頭文字)、
あるいはstates(州連合)という呼び方をします。
理由は簡単で、アメリカは大陸の名前であり、国の名前ではないからです。

正式なアメリカの呼称はUnited states of America ですから、
これはアメリカ大陸の合衆国、という意味です。
アメリカの前に日本語の「の」を意味するof がありますから、
あくまで主になってるのは合衆国の方なのです。
よって国名として省略するなら「合衆国」が正しい事になります。

これに近いのが東アジアの日本国、といった呼び方ですね。
なのでアメリカ合衆国をアメリカ、と呼ぶのは日本を東アジア、
と呼ぶの同じくらい変な話で、本来なら完全に間違いです。
アメリカ人にとって「アメリカ」は大陸名、あるいは地域区分であり、
国名を意味しないので、この呼称はまず通じません。
一般的にはUnited states(合衆国)と呼んでおくのが無難でしょう。

が、日本でここまで一般化してしまった呼称である以上、
今さら私がどうこう言ってもしかたないので、とりあえず、
この記事でもアメリカの呼称を採用しておきます。

ちなみに、南北アメリカ大陸の事を西半球(western hemisphere)と
妙な用語で呼ぶことがあります。
これはユーラシア、アフリカ、オーストラリアといった他の大陸は
地球の東半球にあり、西半球にある大陸はアメリカ大陸だけだからです。
(ただし南極大陸の一部が含まれるが…)
なので、これを直訳して、西半球における国際問題が…というような
誤訳ではないものの、意味の伝わらない日本語の文章をたまに見かけますが、
これは南北アメリカ大陸の意味ですから注意してください。

さて、そのアメリカ合衆国はイヤーンてな位に広い、という特徴があります。
東西の幅だけでも、北海道の東端から西表島までの2倍近い幅があり、
よってアメリカに行きました、といっても、エリアによって全く別の国、
というぐらいの差があるので、最初に今回の行き先をキチンと確認しておきましょう。

とりあえずアメリカは本土だけでも4つの時間帯、時差があり、
これを基準に地域区分とするのが一般的です。
その時間区分で分けると下の地図のような感じに。
今回はこの中でも東部と呼ばれる地域を訪問しています。

ちなみに、実際はここにアラスカ時間とハワイ時間が加わるので、
アメリカは実に時間の確認に困る国です。
飛行機で国内移動する場合、この時差を計算に入れておかないと、
とんでもない勘違いの元になりますから、要注意だったりします。
ちなみに、時間帯の境界線は必ずしも州境に一致しておらず、
より話をややこしくしているのです…。



この地図で太平洋部から山間部にかけてが乾燥した砂漠&地中海性気候地帯で、
西部劇に出てくるような地域(ただし中央部の南部も砂漠地帯が多い)ですね。

その東側、中央部から東部にかけてが豊かな緑地帯となり、
アメリカの農業の中心地もこの辺りです。

また、アメリカを代表するような都市は、太平洋部と東部に集中しており、
中央部の中心都市シカゴも、実はほとんど東部地区、といった場所になってます。
ちなみに地図で見るとシカゴだけが内陸部に見えますが、
ここは五大湖の一つ、ミシガン湖の湖畔の町で、やはり水辺の街なのです。
ちなみに湖といっても五大湖の場合、対岸が見えないどころか、
ジェット機の飛行高度から見ても海にしか見えない、というアホみたいに巨大なもので、
大型の貨物船などが普通に出入りできます。
それどころか、戦時中、アメリカ海軍は訓練用の空母をここに浮かべて、
パイロットの訓練をやっていました(笑)。



中央部付近に広がる穀倉地帯、グレートプレーンズでは高度8000mから見ても、
地平線までひたすら畑が続く、という日本人の想像を絶する世界が広がっています。



さて大筋で、この4つがアメリカの地方区分ですが、
さらに中央部と東部の南側、かつての南北戦争で南軍となった諸州を
特に南部州(southern states)と呼んで区別し、
アメリカでも最も保守的で、排他的な地域とする事も多いです。



こんな感じですね。
もっとも、南部諸州も途中でヴァージニアの一部が奴隷制反対のために離脱、
新たにウェストヴァージニア州を設立してしまたので、話は単純ではないのですが…。

ちなみに、南北戦争直前にワシントンD.C.の南隣、
ヴァージニア州が奴隷制擁護の立場から南軍に参加してしまったため、
合衆国の首都、ワシントンD.C.はなんと戦場最前線の位置になってしまいます。
これはスゴイ場所で、韓国ソウルですら真っ青、という位置です。
ただし、南軍もなぜかそこから南に約160qという場所、
ほとんど近所と言っていいリッチモンドに首都を置いていたので、
あれだけ広い地域の戦争で、なぜか両者の首都は常に最前線でにらみ合い、
という不思議な状態が続くのです。

ついでに後でも少し触れますが、北部だから黒人差別がない、
というわけではなく、ワシントンD.C.よりずっと北にあるフィラデルフィアは、
1950年代に入るまで黒人差別で有名な地区でした。
そもそもヘタをすると1960年代に黒人の地位向上運動が達成されるまで、
全米でも黒人差別が少なかったのはカリフォルニア州くらいかもしれません。




さて、もう一度地図を載せておきます。

今回の旅は東部と呼ばれるエリアを中心に回って来た、
というのは既に述べましたね。
行きはまずボストンに入り、そこで最初の突撃を敢行、
その後、同日中に主要攻略目標のワシントンDCへと移動し、
その市内制覇はもちろん、補助作戦として車で1時間の距離にあるy
ヴァージニア州のダレス国際空港エリア、さらには高速鉄道で2時間弱の
フィラデルフィアまで進撃しています。

ちなみにこのワシントンDCからボストンに至る地域は
アメリカの政治経済の中心部で、
日本で言うと東京〜広島といった地域にあたります。
このため、周辺は古くから開発が進んでいた事もあり、
鉄道による長距離移動が可能、というアメリカでも珍しい地域になってます。
今回の旅行でも、ワシントンD.C.とフィラデルフィア間、
約200qを鉄道で移動してます。

で、帰りはシカゴ経由で帰国したのですが、ここでは別働作戦の
時間的な余裕がなかったので、空港見学だけで撤収しています。

さて、そんなところがアメリカ合衆国の基礎知識。
次はワシントンDCの基礎知識と行きましょう。


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