■次はジェットだ



というわけで、各部屋の見学に入った今回からは一気に行きますぜ。
まずは前回見た黄金時代の部屋から東に快進撃、
1階を2部屋だけ残して完全制覇と行きませう。

やればできる子!
そうでも思わなきゃ、やらない子!



さて、1階の西から二つ目の部屋、ジェット航空。
こういった感じにそれぞれの部屋の入り口の形状が工夫されてるのも
この博物館の特徴で、楽しいですね。
このトンネル式の入り口は、なんかの機体の
エンジンポッドらしいですが、詳細は不明。



中に入るとこんな感じ。
左側のシュールな彫像の坊やは膨らませた風船を手放し、
それが空気を噴出して飛んでゆく、というジェットエンジンと同じ
作用反作用の原理の説明用。

ここのジェットエンジンの解説、それなりに丁寧なんですが、
誰も読んでませんでした…
ついでに解説にやたらF-16が出てますが、
開館時の1976年は本格配備が始まる直前ですから、
これからの未来戦闘機、という感じで使われたんでしょうね。
果たして、37年後に、まだまだ現役とどれだけの人が想像できたやら…。

で、右が内門というか本格展示への入り口なんですが、
よく見るとその上に…。



アメリカ海軍初のジェット戦闘機、マクダネル FH-1 ファントムが。
ちなみに機体名称はFHで、型番が-1です。
ただしファントムには1型しかないので、FH-2以降は存在しませんが…。

余談ながら全軍を通じて、マクダネル社が初めて受注した
量産軍用機がこのファントムとなります。
あの有名なF-4がファントムIIなのは、これが初代 I 世だからです。

この機体は1945年1月初飛行ですから、当然、第二次大戦中。
日本では五式戦が初飛行する1ヶ月も前に、アメリカ海軍では
こんなジェット機を飛ばしていたわけです。

ただしその後の開発はお世辞にも快調ではありませんでした。
戦争が終わってしまって、もはや開発はそれほど急がない、
といった事情もあり、実戦配備は実に1947年の8月、
しかも60機前後造られただけで、2年足らずで引退となります。
まあ、お世辞にもあまり誉められた性能ではなかったようです。

なので、現存機も少なくアメリカ中で3機前後みたいですね。
となると、できれば、もっと見やすい展示にして欲しかった…。
海軍の初期のジェット機ってほとんど見たこと無いんですよ。

で、とりあえずエンジンをもう少しパワーアップしたF2Hバンシーが
早くも1948年から導入が開始され、FHの時代は速攻で終わるわけです。

ちなみにF2HであってFH-2ではないので注意してください。
ここら辺りのネーミングも妙に判りにくいです。



世界初のジェット機、ドイツのハインケル He-178(左)と
イギリス初のジェット機グロスター・ホイットルE.28/39(右)の模型。

ちなみに、アメリカ初のジェット機は、
例のぶら下げ展示となっていたベルのXP-59なんですが、
あれは無かったこととして(笑)、
このジェット機の部屋には、後で見るようにP-80の試作1号機が展示されています。

He-178は1939年8月27日、第二次大戦開始直後に初飛行しており、
これは日本のゼロ戦の初飛行から
わずかに5ヶ月弱遅れただけのタイミングです。
ドイツの科学力、恐るべし、ですね。

ただし、ナチスにあまり人気の無かったハインケル社の機体という事で、
あまり注目もされず、ドイツのジェット機開発は別ルートで進んで行く事に。
なので、エンジンから機体まで完全自社開発だったのに、
以後のドイツのジェット機にはほとんど影響を与えてません。
エンジンも、ドラ焼きみたいな丸い遠心圧縮式で、
後にドイツが得意とする筒状の多段圧縮型では無いですし。
ちなみに実機は大戦中、連合軍の爆撃で破壊され、現存してません。
(ただし戦後に造られたエンジンのレプリカが後で出てきます)

対するグロスター・ホイットルE.28/39は1941年5月15日に初飛行。
2機造られた内の1機が現存しており、
ロンドン旅行記で科学博物館のとこで紹介しましたね。
ちなみにこの変な名前は、28番目の実験機(Experimental)でE28、
その仕様書は19“39”年に発行されたのでE28/39と言う意味で、
味もそっけもないです…。



こちらはイタリア初のジェット機(笑)という事だと思うのですが、
1940年8月に初飛行したカプロニ カンピーニのN-1(右)。

その横、なぜかソ連の機体はMig-15の展示となってました。
もちろん、Mig-15以前にもソ連はジェット機の試作をやってますから、
資料が無かったのか、そもそも関心がなかったのか…。

宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」で、
大型機と奥さん大好きオヤジとして登場していた
カンピーニ閣下の会社が作った怪しい機体がこのN-1、別名でC.C.2でした。
(.C.C.はカプロニ カンピーニの頭文字)
筒状の胴体がいかにもジェット機のように見えますが、
ヤケにコクピット前が長いのに気が付くでしょうか。
じつはあの中に水冷式のピストンエンジンが入っており、
これでタービンを回して空気を圧縮する、という豪快な設計でした。
(ちなみにラジエターがどこにあるのか、よくわからない)

一応、ピストンエンジンの前には3段のファンがあり、
一定率の圧縮は行なわれたようですが、
後のドイツのユモ004などは8段圧縮でしたから、
半分以下の圧縮過程、という事になります。
(さらにエンジンのシャフトを胴体後部に延長しプロペラを1つつけてるが、
これは圧縮空気を燃焼室に送り込むためのものらしい。
ちなみに、このプロペラの力は圧縮空気を燃焼室への押し込みだけで
ほとんど使ってしまうように見えるので、たまに見かけるプロペラ推進+ジェット、
という解説は正しくないように思える。一応、純粋なジェット推力だろう)

当然、圧縮するファンの直後に水冷エンジンがあるため(笑)、
そこで燃焼を行なうわけには行かず、コクピットの下の細いダクトで
胴体後部に導いて、そこで燃料を吹き付けて爆発させてます。
それでもキチンと排気ノズルの形状とか考えて設計されてるので、
ジェット機と言えなくはないですが、圧縮過程にレシプロエンジンを使う以上、
純粋なジェット機とは言いがたい面があるのも確かです。
そもそも、最大速度で375q/hだったと言われてますしね。

余談ながら上のハインケルHe-178の飛行成功は、
当初極秘扱いだったため、全く知られておらず、
このC.C.2が世界初のジェット機を
名乗っていた時期があったりします。

しかし、この機体も1940年初飛行なら、
とっくにイタリアも参戦済みですから、情報統制なんて考えてなかったのか、
はなっからダメ技術と見切りを付けていたのか…
ついでに、こちらは1機現存しており、イタリアにて展示中です。

で、もう一つの、Mig-15は、何度も解説してますから、もういいでしょう(笑)。


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