■始祖鳥的司令塔



で、その艦上構造部の先端にあるのがこれ。
一番奥に見えてる円筒状のもの、
勘のいい人はおわかりでしょう、これがこの艦の司令塔となります。

一応、装甲が施されてるので、装甲指令塔とも言えなくはないのですが、
USSニュージャージーなどと比べると、ほとんど気休めみたいなものです。

ついでに、手前に見えてるフタ付きの筒も謎でして、
図面で見る限り、この中は船体内階層部までつながる
単純な空洞があるだけです。
なんらかの換気用かもしれませんが、こんなフタ付きの換気口、
見た事がなく、なんでしょうね、これ。



この司令塔に関しては外部から見た方が判りやすいでしょう。
矢印の先、主砲の後ろにチョコン、と見えてる円筒が司令塔です。

なんだか地味だなあ、というのと同時に、
艦橋(煙突の前で左右に飛び出してる場所)
は後ろに別にあるのも注意してください。

本来はこの分離型が軍艦の基本形であり、
アメリカ海軍でも、第二次大戦世代の新型艦になるまで、
両者の融合は行なわれませんでした。

世界の他の海軍でも同じでして、イギリスで建造されて日本にやって来た
戦闘巡洋艦 金剛(日本ではなぜか改修前から戦艦扱いになってるが…)なんかも、
就航時の写真を見ると、艦の中央にこの指令塔がポツネンと建ってます。



この司令塔の裏には右側に見えてる、もう一枚の装甲があります。
これは指令塔の後部に出入り口があるので、その防護用みたいですね。



そこにあった指令塔と書かれたプレート。
さすがにレストア時に貼られたものだと思いますが…。



内部はこんな感じ。
この操舵用の舵と機関室への指示器などがあるだけで、
あくまで、操舵以外の機能はないようです。
ちょうどUSSニュージャージーの艦橋部の装甲司令塔に似てますね。
戦闘中に死なれちゃ困る操舵手を守る、という事なんでしょう。

まあ、Conning tower も日本語化が難しい単語の一つで、
とりあえず本記事では司令塔としましたが、
必ずしも指揮系統を内包していたわけではないのです。
もっとも、戦闘時には艦長とかもここに入った可能性はありますが…。

ちなみにここ、コンパスすらなく、
艦橋が吹っ飛んだ後に単艦でこの司令塔が生き残ったら、
母港への帰還はえらく苦労する事になりそうな…。



天井部には非常に細い隙間が開いており、そこから外は見えます。
…一応(笑)。
とりあえず操舵は可能だと思いますが、楽な仕事ではないでしょうね。


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