■次はフェリーだ



そこからUSSニュージャージーを見る。

この角度から見ると、主砲を正面方向に構えた場合、
十分な角度をつけないと艦首に当たってしまう、
というのがわかりますが遠距離射撃が基本となる
戦艦の主砲戦で水平射撃は、ほぼあり得ませんから問題無いわけです。

さらに言うなら、全砲塔一斉射撃が大原則ですから、
主砲というのは、普通は横方向に撃つもので、
後部砲塔が使えなくなる正面方向への砲撃は、
よほどの理由がない限りやりません。

以下、余談。
いわゆるT字戦法、縦に並んだ敵艦隊(縦陣)の前に横一列に展開する、
という戦術は、自分の主砲を全弾相手に撃ち込めるのに対し、
敵は前方主砲しか使えない状況に追い込むものです。

より多くの砲が同時に撃てる以上、破壊力で勝るだけでなく、
先に書いたように命中弾を得る“確率”で優位に立てます。
(特定の目を出すまでに、より多くのサイコロをふれるのに等しい)
ついでに、主砲の散布界(砲弾の落下範囲)は縦長になるのが普通なため、
相手に対して横向きになった方が、
同時に多数の直撃弾を食らう可能性が落ちるのです。
(命中確率はほぼ変わらないが同時に着弾する数が減り一撃撃沈を避けれる)

さらに言うなら縦列だと照準に必要な測敵においても
前方の艦が邪魔になり、不利です。
このため縦に並ぶ、というのは戦艦の戦いにおいては、
極めて不利な状況に追い込まれる事を意味します。

よって日本海海戦でイースト ビレッジこと東郷閣下率いる連合艦隊が取ったT字戦法は
極めて常識的な戦法であり、特に秘策でもなんでもありません。
あれの凄味は、ここしかない、という絶妙のタイミングで極めて正確に回頭した点で、
運もあったとはいえ、この点は世界の海戦史上、奇跡と言っていい見事さでした。



間もなくフェリーがこちらに向ってくるのが見える。
そういや橋の横に渡河フェリーがあるってものアジアっぽいなあ。

ついでに、意外に波が立ってるのに気が付いた。
確かに少し風があったのですが、
それでもUSSニュージャージーに乗艦中、全く揺れを感じなかったので
あらためて戦艦の安定性すごいな、と思ったり。

まあ、あんだけ重ければそうそう揺れないよな、という感じですが、
戦艦が重いのって、装甲の問題だけでなく、
ひょっとして主砲射撃時の安定性確保、揺れ防止の狙いもあるんですかね。



フェリー着岸。
今回、フェリーの利用はボストン以来ですが、
仮にも港外に出る海上フェリーと、川の上だけのフェリーでは
ずいぶんと形が変わるなあ、と思ったり。



乗船。
そして当然、2階の最前部へ。
これが、これこそが私の生きる道なのだ。



そこから再びUSSニュージャージーを見る。
やはりそれほど大きくは見えず、戦艦は決してデカイ船なのではなく、
同体積の場合、単純に極めて重い船なのだ、と改めて思う。


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