■それは田中さんか



ここからは我々人類、ホモ・サピエンス以外のホモ属の復元展示が。
いわゆる原人、というものもここに含まれます。
ちなみに、各復元模型の高さは、それぞれの種の平均身長の位置だとか。
撮影者の身長は167cm、そこから、連中の身長を推測してくださいませ。

我々ホモ・サピエンスは現在唯一のホモ(人)属の生物ですが、
かつては多くの人類の亜種が存在してました。
少なくとも、数十万〜数万年前までは、ニホンザルとテナガザルとテングザルのように、
複数の種の“人間”が居たのです。
それらの顔部分の復元模型が並ぶのがこの展示。
その中で、代表的なものだけを見ておきます。

まずはチョー有名どころ、ホモ ネアンデルターレンシス、
いわゆるネアンデルタール人で、
少なくとも約3万年前までは我々ホモ・サピエンスと共存していた人類です。

解説によると寒冷化に対応して鼻が大きくなったのが特徴、
とされてますが、人類学者の言うことは
10年ごとにまるで変わりますから、
話半分で聞いておいた方がいいでしょう(笑)。

で、このネアンデルタール人は絶滅した、というのが通説ですが、
最近では我々ホモ・サピエンスと混血して
飲み込まれてしまったのではないか、という説もあるようで、
ここら辺りは10年後にはまた話が変わってるでしょう(笑)。

実際それほど違和感は無く、
「こちらがあなたのご先祖にあたる田中タメゴローさんです」
とか言って紹介されたら、
「そうじゃないかと思ってましタメゴロー!」
という感じです。



お次は、そちら方面では何かと話題になる
ホモ・フローレシエンシス(Homo floresiensis)、
いわゆるフローレス人、通称ホビットの復元模型。
ちなみにこちらは女性です。

インドネシアにあるフローレス島で発見された化石から、
9万5000年〜1万7000年前辺りまで生存していたと考えられる
小型のホモ属で、それが事実なら、ホモ・サピエンス以外で、
もっとも近年まで生き残っていた種となります。

ただし、復元模型まで造られていながら、新種ではない、
単に孤立した島に移って小型化した、あるいは発育障害の病気で死亡した
ホモ・サピエンスの骨ではないか、という異論もあり、
例によって10年後どうなってるかはわかりません(笑)。

ちなみにこの病気による骨の異常は、
人類の考古学に常に付きまとう問題で、
30年以上前から、なんら進歩してない学問だなあ、と思います。



こちらはアジアを中心に190万年前から14万年前までと、
えらく長期間生息していたとされるホモ・エレクトスさん。
ちなみにこれも女性だとか。

ただし、これだけは解説板を入れるために、低い位置から
撮影してしまったため、身長は参考になりませぬ。
現代人類につながる長い脚と短めの手、という体型を
最初に持った原人だそうで、これによって樹上の生活より、
二本足で歩くという地上生活に向いた種となった、と考えられてるそうな。

ジャワ原人、北京原人と呼ばれる皆さんがこれにあたり、
初めてアフリカ大陸の外に出た人類と考えられてるようです。
ちなみに、この復元模型の肌の色は適当だと思います。
これを決定するような資料は現存してませんから。

この人たちが私たちの祖先なのか、完全に別の種なのか、
これまた10年ごとにいろんな説が流転しており、よくわかりません。
よほど何か斬新な研究方法が出てくるまで、永遠に謎のままでしょう。

ちなみにこれが人類の祖先なら、人類アフリカ発祥説は否定される事になり、
(中国やインドネシアに居たわけですから)
ここら辺りは学者さんごとに言いたい事を言ってる状態ですね。

このさい世界中の人類考古学者を武道館に集めて肉弾戦で対決させ、
最後まで立っていた学者の説を採用する、というのが
最も建設的な解説法だと思うんですが、どうでしょう。
同じ方法で邪馬台国の所在地論争とかも、簡単にケリがつくはずですし。

まあ、どっちににしろ、
「こちらがあなたのご先祖の田中トメさんです」
とか言われても、
「ちょっと待て、俺が千葉県出身だと思ってバカにしてない?」
という感じでございますが。



こちらはアウストラロピテクス アフリカヌスさん。
330万年から210万年前辺りまでがんばってた種だとか。
ちなみにこれは女性…というか、まだメスというべきか。

名前の通り、アフリカで発掘された種であり、
人類と類人猿の中間のような存在と考えられてるとのこと。
ただし腕が長い、顔の傾斜がキツイなど、
全体的には類人猿に近い特徴が多いそうな。

「こちらがあなたのご先祖の田中…」
「ウキー!」
「あ、こら、人のバナナになにしやがる!」



人類の起源展示コーナーには
こういったトンネル状のフードとモニター付き展示がいくつかありにけり。
これは多くの古代人類の化石が洞窟で発見された事にちなむもので、
各洞窟ごとに、それぞれの種の化石のレプリカと、解説動画が見れます。

そもそもスミソニアンの研究部門はこの分野に昔から深く関わってるので有名でして、
その持ってる資料は世界最高峰であり、なかなか興味深い展示ばかりでした。


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