■元祖マーケット



看板を見ると、フェニエル ホール(Faneuil Hall)と書いてあり、
これまた国家歴史構造物の指定を受けた貴重な建物だよ、との注意書きが。

うーむ、1日に3つも国家歴史構造物を見るとは思ってませんでした(笑)。
個人的には世界各地の世界遺産よりはよほど面白い、
という感じはするので大歓迎ですけどね。

余談ですが、ホール(Hall)というのは、日本語に訳しにくい単語の一つで、
あえて訳すなら公館でしょうか。
開けた公共の空間が公園(Park)だとすると
屋内の公共空間がhall、公館といった感じになります。

なので学生食堂から市役所まで、
個人に占有されない空間は全てHallですね。
ちなみに市役所の事をCity hall というのですが、
昔、母方の祖父の葬儀を行なった葬儀場の名前が
シティー ホール所沢という名前で驚いた事があります。

市役所の職員による互助会の運営なのか、とも思いましたが、
どうもそんなことはなさそう。
一体全体、あれは何を勘違いした日本語からの誤訳なのか、
未だに見当がつきません。
まさか市役所という名前の葬儀場で祖父を見送ることになるとは
夢にも思ってなかったので、埼玉県は恐ろしいところだと思いました…

なので、ここも名前がホールですから、市場であると同時に、
公館であり、歴史上でも重要な役割を果たしています。
その点はまた後で。

でもって現地の説明によると、クインジーマーケットが出来る前は、
この建物がボストンにおける市民市場の役割をしていたのだとか。
なので1742年完成という、アメリカ独立前の建物です。
日本じゃ八代将軍の徳川吉宗がケチケチ改革こと
享保の改革をやってた頃ですね。

さらに驚いたことに、そんな建物が、
未だに商業施設として現役なのです。



中はこんな感じで、よく見ると補強の鉄パイプが何箇所も設置されてるのに気が付きます。
(ただし右奥の真ん中は何らかの配管)
かなり無理をしている、という感じはありますが、それでも電気を引いて、
21世紀にも商業施設として使っちゃうんだから大した物です。

ちなみにこちらは食料品関係ではなく、本屋、雑貨屋などが入ってます。



上の写真で見えてる階段から地下に行くと、
ボストンの歴史を解説してくれる動画コーナーがありました。
イマイチ、お客さん、居ませんでしたが…。
ここも明らかに鉄筋コンクリートによるものと思われる補強が入ってますので、
歴史的な建造物の保存、という点からすると微妙ですね(笑)。

時代的には東大寺の大仏殿と30年くらいしか違いませんから、
あの大仏殿に鉄骨の補強が入って商業施設になってる、
というような状況は、日本人には想像しづらいものがありにけり。



そこにあったこの周辺の歴史と発展を解説したボード。
ここ150年くらいで、かなり埋め立てが行なわれてる、という印象でした。



さて、入ったのとは反対側からホールの外に出ると、
どうやらここで商業施設は終わりのようです。

正面に見えてるのはCity hall、本物の(笑)ボストンの市役所です。
ここら辺りがまさにボストンの中心部、という事になるみたいですね。

ただし、こちらは市役所の裏側になります。


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