■2021大阪と関西


大阪というのは私にとって不思議な街であります。

そこは野球界の伝説、ベイブ・ルースが「おれのこと好っきか」と聞いてくる街。
そして北の果て、京の都との国境には、おそらく世界中の登山家が最も遭難したくない名前の山ナンバーワン、ポンポン山がそびえる街。さらにはその中心部南部には日本最強の混沌が渦巻く街。
そして日本の最大の知性の一人、司馬遼太郎さんが生れ、育ち、そして死んだ街でもあるわけです。

甲子園球場にあったベイブ・ルースの碑。
おそらくこの人が大阪ベイブ・ルースで、夜な夜な「おれのこと好っきか」と聞いてくるんだと思います。私なら裸足で逃げ出しますが、大阪の皆さんはもう馴れてしまっていて、平気なんでしょう。

この3月末に、突然、連休が取れる事が判明し、大阪行きを決意した時に頭に浮かんだのはそういった所でした。

当初は未だまともに歩いて無い日本の百万都市、広島か福岡に行こうか、と思ってたんですが、ジェットスターの成田〜関空便が片道3980円、窓際座席の指定料金、空港使用料その他もろもろを入れても往復で10400円ほどで済むことを発見、急遽、11年ぶりの本格的な大阪観光に向かうことにしたのです。

新幹線は死ぬほど便利ですが、同時に死ぬほどベラボーな料金です。ボッタくりと言っていいでしょう。ここまで高い鉄道システムは日本よりはるかに物価が高い欧米でも私は見たことがありません。

このため、昔は金持ちの道楽的な印象があった飛行機で行く関西の方が安くなってしまっていたのです。今回、上野から成田空港までの京成電鉄運賃、さらに関空から大阪中心部までの各種電車賃を合計しても、新幹線のぞみ号の片道指定料金より安く、しかも行きも帰りも空まで飛べちゃうのだから、これを使わぬ手はありません。

ちなみに飛行時間だけなら1時間程度ですが、成田、関空という都心とは言いかねる空港までの移動時間、さらに出発30分以上前には搭乗口まで辿り着く必要があるため、実質的には飛行機の方が1時間以上余計に時間がかかります。それでも、半額で行けてしまう事を考えるとなんの問題も無いでしょう。



関西はおそらく日本最強の乗り物天国であり、縦横無尽に走る鉄道網に加えて、ケーブルカー、ロープウェイなどが都市圏内に無数に存在します。

なのでこれを利用しない手はないぜ、と今回の旅行では、かなりの移動距離を記録することになりました。
ちなみに関西地区の私鉄の異常なまでの充実は他の土地の人間の想像を絶するものがあります。

例えば近鉄で名古屋から大阪の難波に出て、そこから阪神で神戸に行き、さらにそこから山陽電鉄に乗れば姫路まで行けてしまいます。これは直線距離でほぼ200q、実際の営業距離では約280qというベラボーな距離で、東京〜浜松、東京〜福島に匹敵するベラボーな距離をJRを使わずに移動出来てしまいます。

これだけの距離をJRを使わずに移動できる、というだけでも驚きなのに、近鉄の特急で名古屋から難波に出て、そこから阪神経由で山陽姫路までの列車に乗り換えると、一度の乗り換えだけでいいのです。東日本の人間からすると、スゲエ、という他ありませぬ。

さて、前置きはこのくらいにして、さっそく行ってみましょうか。

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